どこから計算を始めるか
トップダウン型は、GDPや価格、所得など経済全体の指標から出発し、影響を産業別に見ます。ボトムアップ型は、産業や技術ごとの生産・費用・設備選択を計算して、全体へ積み上げます。言葉を分ける目安は「最初に何を計算するか」です。
| 見る点 | トップダウン型 | ボトムアップ型 |
|---|---|---|
| 出発点 | 経済全体の指標・関係 | 産業・技術など細かな単位 |
| 得意な分析 | 価格・需要変化の産業間波及 | 技術選択や部門別の費用・生産 |
| 主な注意点 | 個別技術の差を平均化する場合 | 経済全体の波及を落とす場合 |
同じ政策でも見えるものが違う
発電部門の脱炭素化を例にすると、ボトムアップ型では発電所の種類や燃料、設備費、発電量を並べ、必要な設備構成や費用を比べます。トップダウン型では、エネルギー価格や投資が変わったとき、家計や製造業、物価に影響がどう広がるかを追います。同じ政策でも、モデルによって答える問いが違います。
この分け方はあくまで典型例です。産業別の詳細とマクロ経済の関係を両方扱うモデルもあります。たとえばE3MEの技術資料は、経済部門の分析とエネルギー分野の技術別分析を組み合わせる構造を説明しています。
使い分けは質問から決める
「この技術を入れると、設備や費用はどう変わるか」を知りたいなら、技術の詳細を扱うモデルが候補になります。「燃料税で他産業や家計までどう動くか」を見たいなら、経済全体のつながりを扱うモデルが役立ちます。両方が必要な政策では、二つを接続したモデルもあります。
モデルを選ぶときは名前より、対象範囲とデータ、技術・価格の仮定、計算に入っていない影響を見ます。細かいモデルでも前提がずれれば結果は変わりますし、全体を扱うモデルが現場ごとの違いまで説明するとも限りません。
まとめ
トップダウン型は全体から部門へ、ボトムアップ型は部門や技術から全体へと計算します。どちらを使うかは、知りたいこと次第です。経済全体への波及と技術ごとの費用を両方見たいなら、組み合わせたモデルが選択肢になります。