マージン債務と売りの連鎖

まず結論

マージン債務は、マージン・デット(margin debt)や証拠金債務とも呼ばれ、証券口座の証拠金取引で借り入れた資金の残高を指します。米国市場ではFINRAが、証券マージン口座の顧客借方残高などを月次で集計しています。日本の信用買い残と似た面はありますが、統計の範囲や制度が異なるため同じ数字として比較できません。

なぜ株価下落を大きくするのか

借入で買った株が値下がりすると、投資家の自己資金に対する損失率は、現物だけの場合より大きくなります。担保余力が不足すれば、追加資金の差し入れや建玉の縮小を求められることがあります。多くの投資家が同じ時期に借入を減らすと、返済売りが市場へ出て、価格をさらに押し下げる場合があります。

この連鎖は必ず起きるわけではありません。投資家に現金余力があれば追加担保で対応できますし、買い手が増えれば価格下落が止まることもあります。借入残高は市場の脆弱性を考える材料であって、暴落を日時まで予測する指標ではありません。

統計の見方

FINRAの月次統計は米国の加盟業者が報告する口座残高の集計で、個人の全ての借金や、全ての投資家のポジションを表す数字ではありません。残高が増えた理由も、株価上昇に伴う建玉拡大、投資家の入金・出金、口座範囲の変化など複数考えられます。

「マージン債務が過去最高だからすぐ暴落する」と結論づけず、株価指数の規模、現金残高、金利環境、ボラティリティ、信用取引の条件と並べて推移を見ます。残高そのものは、損失を吸収できる余力や建玉の集中度までは示しません。

出典