インテル株、10月30日の通常取引で28.6%下落

まず結論

株価急落の中心材料は、年末にかけての業績見通しです。第3四半期の調整後EPSは市場予想を上回りましたが、次の四半期に見込む利益水準が期待に届きませんでした。

過去の決算実績が良くても、今後の売上や採算が弱ければ、株価に織り込まれた回復シナリオは見直されます。今回はPC向け需要とサーバー向けの供給状況に違いがあり、半導体需要全体を一括りにしにくい内容です。

何が起きたか

Intelは10月29日16時1分(米東部夏時間、日本時間30日5時1分)に、第3四半期決算と第4四半期の見通しを公表しました。発表直後の時間外取引で20%超下落した後、30日の通常取引でも売られました。

Nasdaqの公式日次株価データによると、29日終値は92.07ドル、30日終値は65.76ドルです。前日比26.31ドル安で、終値同士から計算した下落率は28.58%。小数第1位では28.6%、整数では約29%となります。30日の取引終了は日本時間31日5時に当たります。

「時間外20%超安」と「通常取引の終値で約29%安」は、同じ決算後の異なる時点の値動きです。両者を足した数字が、1日分の下落率になるわけではありません。

第4四半期見通しは市場の期待とどれだけ違ったか

会社が示した第4四半期の売上高予想は150億〜160億ドルです。売上高レンジの中央値を前提に、調整後EPSは0.25ドル、調整後粗利益率は38.0%を見込んでいます。

決算発表時に報じられたLSEG集計の市場予想と比較すると、次の差があります。市場予想は集計時点によって変わるため、発表時の比較値として扱います。

指標 会社の第4四半期見通し 発表時に報じられた市場予想 差の見方
売上高 150億〜160億ドル 170億7,000万ドル 会社予想の中央値155億ドルは約9.2%下回る
調整後EPS 0.25ドル 0.43ドル 会社予想は約41.9%下回る

差は市場予想に対する割合であり、前年同期からの減収率・減益率ではありません。また、会計基準に基づくGAAPのEPS予想は0.10ドルです。上の比較では、調整後の会社予想と調整後の市場予想をそろえています。

投資家が見る点: 売上高予想はレンジ上限でも市場予想に届きません。利益率の低下も重なるため、EPSの差は売上の差より大きくなります。売上がどこまで戻るかに加え、その売上から利益を残せるかが焦点です。

弱い見通しの背景

PC需要の減速と顧客の在庫調整

決算説明会の経営陣説明資料では、メモリーの価格上昇と供給不足がPCの購入予算を圧迫し、顧客が在庫を絞っていると説明しています。PC向けなどを扱うCCPGの第4四半期売上高は、前四半期から20%超減少する見通しです。

投資家が見る点: PCの最終需要と、PCメーカーによる在庫調整は同じ動きではありません。顧客が在庫を減らす間は、最終需要の落ち込み以上に半導体の購入量が減る可能性があります。在庫調整が一巡する時期と、メモリーの価格・供給動向が確認材料になります。

Fab 28の供給障害が売上と粗利益率に影響

同じ説明資料で会社は、Fab 28の事故について初期評価に基づく影響を見通しへ織り込んだとしています。第4四半期の売上高への影響は約3億ドル、粗利益率への影響は約2ポイントで、売上への影響のほぼ全額が10nmのサーバー製品に関係すると説明しました。

これらは公表済みの会社予想に含まれています。売上高予想から、さらに3億ドルを差し引く計算にはなりません。

投資家が見る点: サーバー向けは需要があっても、製品を供給できなければ売上計上につながりません。PC向けの需要不足と、サーバー向けの供給制約は、回復に必要な条件が異なります。工場の生産回復と出荷への影響を追う必要があります。

第3四半期実績と見通しを分けて読む

9月26日終了の第3四半期売上高は約165億ドルで前年同期比21%増、調整後EPSは0.52ドルでした。発表時に報じられた市場のEPS予想0.40ドルを上回っています。

会社は第3四半期の売上高、粗利益率、EPSが自社の事前見通しを上回ったと説明しました。一方、発表された第4四半期の粗利益率見通しは低下しています。今回の急落は、過去の四半期の利益と、次の四半期への期待が別々に評価される例といえます。

日本株への波及で見る点

日本の半導体関連株を見る場合も、PC向けとサーバー向けの需要、工場の供給能力を分けて点検します。以下は決算内容からの見方です。PCの在庫調整は部品需要の重荷になり得る一方、供給能力を増やす投資は製造装置などの発注を支える可能性があります。

Intelの株価下落だけから、日本企業の受注減少や半導体市場全体の縮小を断定することはできません。国内企業の会社予想や顧客別の投資計画と合わせて読む局面です。

今後の確認点

  • PCメーカーの在庫調整とメモリー価格・供給の改善時期
  • Fab 28の生産回復と、サーバー製品の出荷への影響
  • 第4四半期の売上高が予想レンジのどこに着地し、粗利益率がどう変わるか
  • GAAPと調整後の数値、実績と予想をそろえた利益比較

約29%の下落が、そのまま割安さを意味するわけではありません。利益予想の下方修正が続けば、下落後の株価でも評価が変わります。見通しとその前提がどこまで変わったかが判断材料になります。

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