まず結論
この補助金は、「湿地で何かイベントをする団体」向けというより、
新潟市の湿地を守る・活かす・知ってもらう活動を行う団体向け
の制度です。
令和8年度後期の受付期間は、2026年8月14日(金)から11月30日(月)まで。
ただし、後期予算の上限に達した場合は期間途中でも募集終了となります。逆に、締切後でも予算状況によって受け付ける場合があるため、市は問い合わせを案内しています。
対象となる活動は、大きく分けると、
- 湿地の保全・再生
- 湿地の利活用
- 湿地をテーマとした交流・学習
です。
さらに、実施した活動について広く情報発信することまで制度の目的に含まれています。
そのため、採択を考えるなら、
「何をするか」+「湿地にどう役立つか」+「成果を誰にどう伝えるか」
までを1つの事業として設計することが重要です。
キャンペーン概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 募集期間 | 令和8年8月14日(金)〜11月30日(月) |
| 事業期間 | 交付決定日以後に着手し、令和9年2月28日(日)までに完了 |
| 対象地域 | 新潟市内の湿地 |
| 主な対象活動 | 保全・再生、利活用、交流・学習、それらの情報発信 |
| 補助上限 | 50万円 |
| 補助率 | 原則1/2 |
| 初回利用 | 補助対象経費25万円までの部分は1/1 |
| 個人での活動 | 5人以上のグループとして申請 |
| 申請回数 | 同一内容の継続事業は原則通算3回まで |
| 申請先 | 新潟市環境部環境政策課 |
ここでいう「湿地」は、一般的にイメージする潟や湖だけではありません。
ラムサール条約の定義に基づき、
- 湖沼
- 河川
- 水田
- ため池
- 遊水地
- 干潟
- 海域の一部
なども含まれます。
つまり、活動場所が「○○潟」でなければ申請できない制度ではありません。
新潟市内の湿地に関わる活動であれば対象になり得ます。
還元率の内訳
補助金は、補助対象経費の税抜額を基に計算されます。
通常は、
補助対象経費 × 1/2
で、上限は50万円です。
1,000円未満は切り捨てられます。
| 区分 | 補助率 | 上限 |
|---|---|---|
| 通常 | 1/2 | 50万円 |
| 初めて利用する団体 | 25万円までの部分は1/1、超過部分は1/2 | 50万円 |
初回利用者への優遇が、この制度の特徴です。
たとえば補助対象経費が25万円なら、
25万円 × 1/1 = 25万円
となります。
補助対象経費が40万円なら、
25万円 × 1/1 + 15万円 × 1/2
なので、
32万5,000円
です。
これは新潟市が募集要領で示している計算例です。
初回なら、事業費50万円では37万5,000円
同じ計算を50万円まで広げると、
25万円 × 1/1 + 25万円 × 1/2
=
37万5,000円
になります。
一方、通常枠で同じ50万円の対象経費なら、
50万円 × 1/2 = 25万円
です。
つまり初回利用では、比較的小規模な活動ほど自己負担を抑えやすい設計です。
ただし、
「25万円使えば必ず25万円もらえる」という意味ではありません。
申請内容は審査され、事業内容の見直しを求められたり、希望額の全額が交付されなかったり、不採択となったりする場合があります。
お得になる使い方
- 初回利用なら、まず補助対象経費25万円以内で成立する事業か検討する
- 継続事業の場合は「前年と何を変えるのか」を事業計画書で明確にする
- 保全・再生、利活用、交流・学習のどこに該当するかを明示する
- SNS、WEB、展示、冊子など情報発信まで最初から予算へ組み込む
- 交付決定前の支払いを避け、見積段階で申請する
- 参加人数だけでなく、アンケートや調査結果など成果を数値で残す
特に既存事業を申請する場合は注意が必要です。
以前から継続している活動の場合、原則として、
補助金を使うことによって活動内容に追加・変更があること
が必要です。
ただし、「湿地の保全・再生」に資する活動については、この制限の例外とされています。
たとえば毎年同じ観察会をしているのであれば、
「今年も同じ観察会を開催する」
だけでは弱く、
- 新しい生物調査を加える
- 子ども向け教材を制作する
- 調査結果をWEB公開する
- 他団体との交流企画を追加する
など、「補助金によって何が増えるか」を示すと制度目的と結び付けやすくなります。
何に使える?
募集要領では、事業に直接必要な最低限の経費が対象です。
主な対象経費には、
| 費目 | 主な対象例 |
|---|---|
| 賃金 | 臨時的に雇用するアルバイト等 |
| 謝金 | 講師、専門家、出演者等への謝金 |
| 旅費 | 活動に必要な人員の合理的な旅費 |
| 消耗品費 | 1品3万円未満の物品など |
| 燃料・水道光熱費 | 活動に直接必要なもの |
| 印刷製本費 | チラシ、ポスター、資料など |
| 通信費 | 郵便・宅配など |
| 保険料 | イベント保険、ボランティア保険 |
| 委託料 | 会場設営、調査分析、動画制作など |
| 使用料・賃借料 | 会場、機材、備品等のレンタル |
などがあります。
一方、
- 団体構成員自身の人件費
- 団体構成員への謝金
- 販売目的の商品や原材料
- 換金性の高い景品
- 事業との関係が明確でない経費
- 消費税・地方消費税
- 原則として事業中止によるキャンセル料
などは対象外です。
特に領収書は、品目や数量を確認できないと一部または全部が対象外になる場合があります。
「○○代 10万円」のような曖昧な領収管理を避け、何に使ったか分かる状態にしておくことが重要です。
注意点
| 注意点 | 対応 |
|---|---|
| 交付決定前の支払い | 補助対象外になるため、原則として決定後に支払う |
| 予算上限 | 11月30日前でも受付終了の可能性あり |
| 同一継続事業 | 原則通算3回まで |
| 情報発信 | 市内外の不特定多数への発信が必要 |
| 限定イベント | 特定者だけが参加する集客イベントは対象外 |
| 営利目的 | もっぱら収益目的の事業は対象外 |
| 他補助金 | 他自治体等の補助額は対象経費から差し引く場合あり |
| 実績報告 | 活動終了後に実績・決算書類を提出 |
| 収益発生 | 条件により補助金の一部または全部を返納する場合あり |
「営利団体だから対象外」ではない
ここは誤解しやすいポイントです。
新潟市は、対象となる団体について営利・非営利を問わないとしています。
実際、過去の採択実績には株式会社による事業も掲載されています。
ただし、
活動そのものが、もっぱら販売などの収益を目的としている場合
は対象になりません。
つまり、
「株式会社だから不可」
ではなく、
「湿地活動より売上獲得が主目的になっていないか」
を見る必要があります。
活動の一部に収益事業を含むこと自体は認められています。
利益が出たら返納の可能性がある
補助事業の結果、
収入-支出で収益が生じた場合
には、交付された補助金を上限として、その収益の一部または全部に相当する額を新潟市へ返納する必要があります。
有料イベントや物販を組み合わせる場合には、
「収入が増えればそのまま利益になる」
とは限りません。
申請段階から入場料、参加費、販売収入などを収支予算へ正確に入れておく必要があります。
集客イベントはアンケートが必要
募集要領では、事業効果をできるだけ客観的なデータで分析するよう求めています。
特に、不特定多数を対象とした集客イベントでは参加者アンケートが必須です。
たとえば、
- 参加人数
- 湿地への理解度
- 満足度
- 再訪意向
- 活動を知った経路
などを取っておけば、実績報告でも成果を説明しやすくなります。
広報物は市への事前確認が必要
チラシ、ポスター、パンフレット、WEBページなどを制作する場合には、「国際湿地都市NIIGATA」のPRに関する指定文言やロゴマークの掲載が必要です。
さらに、印刷やWEB公開をする前の校正段階で新潟市へデータを送って確認してもらうことが求められています。
令和8年度後期は、11月30日から12月2日に新潟市で開催される「世界湿地都市ネットワーク市長会議」に関するPR文言にも注意が必要です。
広報物は納期ぎりぎりに制作するより、市の確認期間まで含めてスケジュールを組む方が安全です。
向いている人・向かない人
- 向いている人: 新潟市内の湿地について、保全・調査・体験・教育・情報発信などを具体的に企画できる団体や5人以上のグループ
- 向かない人: 湿地を単なる会場として使うだけのイベント、特定会員だけを対象にする企画、収益獲得を主目的とする事業
たとえば、
「潟の近くで音楽イベントを開く」
だけでは、湿地を単なる会場として利用していると判断される可能性があります。
一方で、
「湿地環境をテーマにした解説・観察・展示を組み込み、その成果をWEBで発信する」
のであれば、制度目的との関連性を説明しやすくなります。
実際、過去には、
- 湿地の植生復元に関する調査
- 外来種駆除
- サインボード制作
- クイズラリー
- 朝市
- ヨシの有効活用
- 講演会
- アウトドア体験
など幅広い事業が採択されています。
つまり、環境保全だけに限定された補助金ではありません。
「湿地との関係をどう作るか」
に企画の余地がある制度です。
まとめ
新潟市の令和8年度後期「湿地プロジェクト補助金」は、市内の湿地について、
保全する → 活かす → 学ぶ・交流する → 成果を広く伝える
という活動を支援する制度です。
申請期間は2026年8月14日から11月30日まで、補助限度額は50万円、補助率は原則1/2です。
初めて利用する団体については、補助対象経費25万円までの部分を1/1で補助する優遇があります。
ただし、採択を考えるときに最も重要なのは補助率だけではありません。
①新潟市内の湿地に関係しているか ②保全・利活用・交流学習に役立つか ③活動成果を広く情報発信できるか
の3点を事業計画の中心に置く必要があります。
また、
交付決定前に支払いをしない
ことも重要です。
事業終了後には実績報告が必要で、原則として補助金の振込はその後です。ただし、市が必要と認める場合には活動期間中の概算払いが可能なケースもあります。
そのため、資金計画は、
「補助金が出るから使う」ではなく、「一時的に自己資金で立て替えられるか」まで含めて考える
のが安全です。
さらに、応募件数が多い場合には、事業の一部見直しや不採択となる可能性があります。
採択可能性を高めるなら、
湿地との関係、公益性、情報発信、成果指標、経費の必要性
を申請書の段階で一つのストーリーとしてつなげることが重要です。
確認日: 2026-08-15
出典
- 新潟市「湿地プロジェクト補助金」
- 新潟市「新潟市湿地プロジェクト補助金募集要領(令和8年度後期)」
- 新潟市「新潟市湿地プロジェクト補助金 取扱基準」