決算サマリー
円建ての資産・口数は日本語の決算短信、運用リターンと損益は同時開示の年次報告書(米ドル表示)から整理した。通貨と指標の基準が異なるため、両者を混ぜて増減率を計算していない。
| 指標 | 2026年6月期 | 前年同期・前年6月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 主要投資資産 | 5,961億85百万円 | 6,071億80百万円 | -1.8% |
| 純資産 | 5,963億89百万円 | 6,085億20百万円 | -2.0% |
| 発行済口数 | 34,801,094口 | 33,843,234口 | +2.8% |
| 1口当たり基準価額 | 17,137円 | 17,980円 | -4.7% |
| 連動指数リターン | -1.98% | +13.11% | -15.09ポイント |
| 分配金込みファンドリターン | -2.27% | +12.71% | -14.98ポイント |
| 運用費用比率 | 0.18% | 0.18% | 変化なし |
期中の設定は1,322,860口、交換(解約)は365,000口で、差し引き957,860口の設定超だった。口数の増加だけでは基準価額の下落を埋められず、期末純資産は前年末を下回った。6月期の分配金は7月22日を分配基準日とし、1口当たり1.51米ドル。短信の234円は2026年9月16日の為替相場で換算した参考値で、実際の受取額とは異なる場合がある。
年次報告書の米ドル建て損益では、投資損益が7,533万米ドルの損失(前年は4億4,256万米ドルの利益)、分配金と税引後の運用による純資産変動は1億8,631万米ドルの減少(前年は3億2,636万米ドルの増加)だった。これは円建て基準価額とは通貨基準が異なる財務諸表上の数値である。
セグメント
ファンドの運用報告に事業会社型の報告セグメント別売上高・利益はない。代わりに、6月末の投資対象地域別エクスポージャーは米ドル換算で、中国9億6,162万米ドル、シンガポール6億1,152万米ドル、韓国5億9,982万米ドルなど8市場に分散していた。これは売上構成ではなく、債券ポートフォリオの市場別時価である。
財務安全性
一般企業の自己資本比率や営業キャッシュフローは当てはまらない。期末総資産は6,113億65百万円、負債は149億76百万円、純資産は5,963億89百万円。年次報告書の米ドルベースでは債券が投資資産の99.97%を占める。ファンドの存続性を見るうえでは、この残高に加えて運用成績、設定・解約、取引市場の流動性を追いたい。
定量評価
| 指標 | 2026年6月期 | 比較 | 見方 |
|---|---|---|---|
| 1口当たり基準価額 | 17,137円 | 前年6月末比 -4.7% | 円建ての基準価額は下落 |
| 指数との差 | -0.29ポイント | 指数 -1.98%、ファンド(分配込み)-2.27% | 期間リターンに小幅な差 |
| 運用費用比率 | 0.18% | 前期も0.18% | 年次報告書の算定基準による |
| PER・EPS・ROIC | 該当なし | 投資信託のため非該当 | 企業利益を基にした評価指標では測れない |
指数自体が下落した年で、分配込みリターンの指数差は0.29ポイントのマイナスだった。基準価額の円換算値と米ドルベースの運用リターンは通貨基準が異なるため、直接比較はできない。
ポジティブ要因
設定超が口数を押し上げ
期中の設定は132万2,860口、交換は36万5,000口。純設定は95万7,860口となり、発行済口数は前年末から2.8%増えた。残高縮小は解約超によるものではない。
運用費用比率は横ばい
年次報告書の算定による運用費用比率は0.18%で、前年も0.18%だった。売買委託費用など同比率に含まれない費用がある点は別に確認したい。
リスク要因
指数下落と小幅な連動差
2026年6月期の指数は1.98%下落、分配込みファンドリターンは2.27%下落した。報告上の差は0.29ポイントで、手数料や税、運用上の要因を含む結果として次期も確認が必要だ。
国別・発行体別の偏り
投資資産の格付け構成はAAAが17%、AAが20%、Aが43%、BBBが15%、無格付けが5%。単一発行体では中国政府債が純資産の18.77%、シンガポール政府債が15.75%、韓国国債が13.72%を占めた。
為替と金利
保有債券は人民元、香港ドル、ルピア、ウォン、リンギット、ペソ、シンガポールドル、バーツ建て。金利変動による債券価格の動きに加え、円で売買する投資家には複数通貨の対円変動も基準価額に影響する。
受益者の名義集中
年次報告書では、10%超を保有する受益者は名義口座1者で、口数の98.03%を保有すると記載された。これは受益者の実質的な内訳を示す情報ではなく、名義上の集中を示すものだ。
業界動向との関連
このファンドはアジア8市場の政府・準政府債などを対象とする指数に連動する。2026年6月期は指数がマイナスとなり、金利・為替・信用力の変化が重なる市場環境が運用成績に表れた。個別企業の業績予想やシェアで評価する商品ではない。
株価への示唆
市場価格は取引所の需給でも動くため、基準価額との乖離と売買スプレッドを合わせて見る。運用報告では、分配込みファンドリターンが指数を0.29ポイント下回った。差が縮むか、運用費用比率が変わるかは次の比較点になる。金利低下は債券価格を押し上げる場合があるが、アジア通貨の対円変動や各国の信用・財政環境が同時に動くため、指数全体の方向は一つの金利だけでは決まらない。
今期の総括
指数下落を受けて分配込みリターンもマイナスとなり、円建て基準価額は前年6月末から4.7%下がった。設定超で口数は増えたものの純資産は縮小しており、資金流入と運用成績は分けて読む必要がある。
来期見通し
ETFのため事業会社型の売上・利益予想は開示されていない。運用目標は手数料・費用控除前でiBoxx ABF汎アジア指数の総収益に近い成果を目指すこと。次期は指数とのリターン差、国・通貨別エクスポージャー、分配、売買市場での基準価額との乖離を確認する。
総合判断
判断は中立。指数の下落が主因となり、分配込みリターンもマイナスだった。口数は純設定で増えたが基準価額の下落を補えていない。指数そのものの金利・為替・信用リスクに加え、指数との差が費用控除後にどう推移するか、そして取引所価格が基準価額から離れないかが評価の軸になる。
出典
- ABF汎アジア債券インデックス・ファンド「2026年6月期 決算短信」(2026年9月29日開示)
- ABF汎アジア債券インデックス・ファンド 年次報告書2026(対象期間:2025年7月1日~2026年6月30日)
- ファンド公式情報