キオクシアホールディングス(285A) 2026年3月期 第3四半期累計 売上収益 1兆3,348億円 前年同期比 -1.8% Q3単体営業利益 1,428億円 前四半期比 +568億円 確認点 急な単価上昇 投資CFの拡大 AI需要とNAND市況改善が下期利益を押し上げる

決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率通期予想進捗率
売上収益1兆3,347.76億円1兆3,593.66億円-1.8%2兆1,798~2兆2,698億円59~61%
Non-GAAP営業利益2,770.31億円4,155.56億円-33.3%7,170~8,070億円34~39%
営業利益2,735.74億円4,146.06億円-34.0%7,096~7,996億円34~39%
親会社帰属四半期利益1,467.56億円2,520.48億円-41.8%4,538~5,138億円29~32%
基本的EPS271.67円485.94円-44.1%非開示該当なし

通期予想は第4四半期の販売単価上昇を前提としたレンジです。進捗率はレンジ下限と上限に対する単純計算であり、季節性と市況変動を考慮する必要があります。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
売上収益営業利益率20.5%前年同期30.5%累計では前年同期を下回りますが、Q3単体は改善しました。
親会社所有者帰属持分比率30.6%前期末25.3%5.4ポイント改善しました。
営業CF3,222億円前年同期3,726億円税引前利益の減少で縮小しました。
投資CF-1,682億円前年同期-1,158億円有形固定資産取得の増加が響きました。
現金同等物2,815億円前期末比+1,136億円資本負債構成の再構築後も増加しました。

ポジティブ要因

第3四半期単体は利益が急回復

第3四半期単体の売上収益は5,436億円で前四半期比953億円増、営業利益は1,428億円で同568億円増でした。平均販売単価、出荷量、為替がいずれも増収方向に働いています。

AIデータセンター需要

SSD & ストレージの第3四半期単体売上は3,004億円で、前四半期比558億円増えました。生成AI用途を中心としたデータセンター顧客の需要が、記憶容量ベースの出荷増につながっています。

資本比率と手元資金が改善

親会社所有者帰属持分比率は30.6%、現金及び現金同等物は2,815億円となりました。利益計上に加え、社債発行や借り換えを含む資本負債構成の再構築を経て、前期末より財務余力が増しています。

リスク要因

通期予想は急な単価上昇が前提

第4四半期単体の会社予想は、売上収益8,450~9,350億円、営業利益4,360~5,260億円です。全アプリケーションで販売単価が大幅に上昇する想定であり、需給や顧客交渉が崩れると振れ幅も大きくなります。

設備投資負担

投資CFの支出は1,682億円へ増え、有形固定資産取得は2,137億円でした。市況上昇局面の投資は供給力を高めますが、競合の増産と重なると将来の価格調整要因になります。

為替と金融費用

第3四半期単体は円安が増収に寄与しました。一方、累計では為替差損の増加が税引前利益の重荷になっており、ドル円の方向と外貨建て負債の影響を分けて見る必要があります。

財務安全性

2025年12月末の資産合計は3兆1,948億円、資本合計は9,786億円、親会社所有者帰属持分比率は30.6%です。営業CF3,222億円に対して投資CFは1,682億円の支出で、営業活動の範囲内で投資を賄っています。ただし、通期予想の利益水準はNAND単価の急上昇を前提としており、市況反転時の耐性も確認が必要です。

業界動向との関連

生成AIサーバー向けストレージ需要がNAND出荷を押し上げ、PC・スマートフォンでもAI対応モデルが需要を支えています。一方、メモリ市況は供給調整と増産判断で循環しやすく、販売単価の上昇局面ほど競合投資の動きを警戒する必要があります。

株価への示唆

累計減益よりも、第3四半期単体の利益率改善と第4四半期予想の強さが短期的な評価材料です。ただし、会社予想には販売単価の大幅上昇が織り込まれているため、実績がレンジのどこに着地するかで評価が変わります。

今期の総括

第3四半期累計は前年同期比減益でしたが、下期に入ってNAND市況と出荷量が改善しました。営業CFは黒字を維持し、資本比率も上昇しています。業績の底打ちから回復へ移った一方、その速度は販売単価に大きく依存しています。

来期見通し

2026年3月期通期の会社予想は、売上収益2兆1,798~2兆2,698億円、営業利益7,096~7,996億円、親会社帰属当期利益4,538~5,138億円です。第4四半期に固定資産税約120億円を計上する一方、Sandiskとの契約延長に伴う売上収益約30億円も見込んでいます。

総合判断

総合判断は中立です。第3四半期単体の増収増益、営業CFの黒字、資本比率の改善は強い材料です。一方、通期予想はNAND単価の上昇に依存し、設備投資も増えています。次回は第4四半期の実現単価、営業利益率、フリーキャッシュ・フロー、競合の供給姿勢を確認したいところです。

出典