決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 17,671.17億円 | 3,427.99億円 | +415.5% | 非開示 | 該当なし |
| Non-GAAP営業利益 | 13,262.16億円 | 452.14億円 | 1,000%以上 | 非開示 | 該当なし |
| 営業利益 | 12,700.17億円 | 448.99億円 | 1,000%以上 | 非開示 | 該当なし |
| 税引前四半期利益 | 12,347.20億円 | 276.09億円 | 1,000%以上 | 非開示 | 該当なし |
| 親会社帰属四半期利益(IFRS) | 8,421.65億円 | 182.84億円 | 1,000%以上 | 非開示 | 該当なし |
| Non-GAAP親会社帰属四半期利益 | 8,869.52億円 | 185.07億円 | 1,000%以上 | 非開示 | 該当なし |
| 基本EPS | 1,539.91円 | 33.90円 | 1,000%以上 | 非開示 | 該当なし |
決算短信は前年同期比が1,000%以上となる項目を「-」と表示しています。上表もその開示方針に合わせ、売上収益以外は「1,000%以上」としました。なお、2026年10月1日を効力発生日として普通株式1株を3株に分割する予定ですが、上記の決算数値とEPSは株式分割の影響を反映していません。
今回の確認ポイントは、親会社帰属四半期利益とNon-GAAP親会社帰属四半期利益を混同しないことです。IFRSベースは8,421.65億円、Non-GAAPは8,869.52億円で、前者が決算短信の会計上の親会社帰属利益です。また、995,798百万円は四半期包括利益であり、EPSではありません。基本EPSは1,539.91円、希薄化後EPSは1,525.09円です。
セグメント
キオクシアHDはメモリ事業の単一セグメントです。決算短信では、報告セグメント利益ではなく、製品用途に応じたアプリケーション別の売上収益を開示しています。
| 用途区分 | 当期売上収益 | 前年同期 | 増減 | 前年同期比 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| SSD & ストレージ | 11,747.19億円 | 2,174.11億円 | +9,573.08億円 | +440.3% | 66.5% |
| スマートデバイス | 5,256.56億円 | 790.40億円 | +4,466.16億円 | +565.0% | 29.7% |
| その他 | 667.42億円 | 463.48億円 | +203.94億円 | +44.0% | 3.8% |
| 合計 | 17,671.17億円 | 3,427.99億円 | +14,243.18億円 | +415.5% | 100.0% |
SSD & ストレージは生成AI用途を中心とするデータセンター向け需要と平均販売単価の上昇が寄与し、スマートデバイスも大幅に増収となりました。用途別の営業利益は開示されていないため、営業利益を各用途へ配分して評価することはできません。
財務安全性
2026年6月末の資産合計は4兆7,304.76億円、資本合計は2兆4,044.78億円、親会社所有者帰属持分は2兆4,043.20億円、親会社所有者帰属持分比率は50.8%でした。前期末から持分比率は12.9ポイント改善しています。主因は四半期利益8,421.65億円の計上です。
営業活動によるキャッシュ・フローは8,663.37億円、投資活動によるキャッシュ・フローは△1,173.18億円、財務活動によるキャッシュ・フローは△4,303.64億円でした。現金及び現金同等物は7,910.14億円で、利益と営業キャッシュ・フローが同じ方向に改善しています。一方、Nanya Technology株式取得などで投資CFが流出し、借入金の繰上返済で財務CFも大きくマイナスになりました。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 71.9% | 営業利益÷売上収益 | 高い利益率だが、NAND価格と出荷量の変化に左右される。 |
| 基本EPS | 1,539.91円 | 前年同期33.90円 | 前年同期比は1,000%以上。株式分割前の数値。 |
| 親会社利益率 | 47.7% | IFRS親会社帰属利益÷売上収益 | Non-GAAPではなくIFRSベースで確認する。 |
| ROE | 非開示 | 決算短信に直接記載なし | 四半期の自己資本との単純比較は避ける。 |
| ROIC・PER | 算定せず | 決算短信だけでは算定材料不足 | 株式分割後の株価・株数をそろえて確認する。 |
営業利益と親会社帰属利益の差には金融費用や法人所得税費用なども含まれます。さらに、Non-GAAPはIFRS上の数値から会社所定の調整を行った社内指標であり、監査法人のレビュー対象ではないため、会計上の実績と分けて扱います。
ポジティブ要因
データセンター向け需要と単価上昇
生成AI用途を中心にデータセンター向け需要が強く、平均販売単価の大幅な上昇、出荷量の増加、円安方向の為替が売上収益を押し上げました。SSD & ストレージの売上収益は1兆1,747.19億円まで拡大しています。
利益とキャッシュの改善
IFRS営業利益は1兆2,700.17億円、営業CFは8,663.37億円でした。会計上の利益だけでなく営業キャッシュも大きく増えており、今回の増益は少なくともキャッシュ面を伴っています。
財務基盤の厚み
親会社所有者帰属持分比率は50.8%まで上昇しました。借入金の繰上返済も進み、前期末と比べて社債及び借入金は減少しています。
リスク要因
IFRS利益とNon-GAAP利益の読み分け
IFRSの親会社帰属四半期利益は8,421.65億円、Non-GAAPは8,869.52億円です。Non-GAAPの方が447.87億円大きく、会社が調整した項目の影響を含みます。見出しやEPSでこの2つを混ぜると、実績の読み違いにつながります。
メモリ市況への依存
営業利益率は71.9%と非常に高いものの、メモリの販売単価、出荷量、競合の供給姿勢で変動しやすい収益です。高い利益率を通期へそのまま延長できるかは別問題です。
株式分割による比較の断絶
2026年10月1日を効力発生日とする1対3の株式分割が予定されています。決算短信のEPSは分割前の1株ベースなので、次の開示や市場データと比較する際は、分割調整の有無をそろえる必要があります。
業界動向との関連
半導体メモリ市場では、スマートフォン・PC向け需要に加えて、AI用途サーバー向けのデータセンター・エンタープライズ需要が拡大しています。今回の決算はその恩恵が売上単価と利益に強く表れた形です。ただし、メモリは価格変動の影響が大きく、需要が強い局面の利益率を平常値とみなすのは危険です。
株価への示唆
数値だけなら強い決算ですが、株価が次に見るのは1兆円超の営業利益を維持できるか、そして株式分割後のEPSをどの水準で織り込むかです。第2四半期は会社計画上さらに増収増益ですが、データセンター向け需要、販売単価、スマートデバイス向け出荷の持続性が確認材料になります。
今期の総括
2027年3月期第1四半期は、売上収益1兆7,671.17億円、営業利益1兆2,700.17億円、IFRSの親会社帰属四半期利益8,421.65億円、基本EPS1,539.91円でした。8,869.52億円はNon-GAAP親会社帰属利益、995,798百万円は四半期包括利益であり、IFRS親会社利益やEPSではありません。この区別が今回の数値確認の核心です。
来期見通し
会社は2027年3月期第2四半期の会計期間について、売上収益2兆3,900億円、営業利益1兆8,900億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益1兆2,700億円、基本EPS2,317.46円を見込んでいます。Non-GAAP親会社帰属四半期利益は1兆2,800億円、Non-GAAP基本EPSは2,335.70円の見通しです。いずれも株式分割の影響は反映していません。
総合判断
総合判断は中立です。実績は売上、営業利益、IFRS親会社利益、営業CFがそろって大幅に改善しており、決算内容自体は強い一方、メモリ市況への依存度と株式分割後のEPS評価が残ります。次回は第2四半期計画の達成度に加え、販売単価、用途別売上、IFRSとNon-GAAPの差を確認します。
出典
本記事は、キオクシアホールディングスが開示した決算短信と公式IR情報を基に作成しています。
- キオクシアホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」、開示日: 2026-07-31
- キオクシアホールディングス 決算短信