決算サマリー
| 項目 | 2026年12月期中間期 | 前年同期 | 増減率 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 90.20億円 | 64.85億円 | +39.1% | 167.58億円 | 53.8% |
| 営業利益 | 9.97億円 | 5.54億円 | +79.9% | 14.68億円 | 67.9% |
| 経常利益 | 9.10億円 | 4.94億円 | +84.1% | 13.30億円 | 68.4% |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 6.11億円 | 3.32億円 | +83.7% | 8.95億円 | 68.3% |
| 1株当たり中間純利益 | 52.93円 | 28.81円 | +83.7% | 77.51円 | 68.3% |
増収率を利益の伸びが上回り、営業利益率は前年同期の8.5%から11.1%へ上昇しました。通期予想は据え置かれています。単純計算では下期に売上高77.38億円、営業利益4.71億円を積み上げれば計画に届く水準ですが、開発分譲は物件の引渡時期で四半期ごとの振れが大きいため、進捗率だけで上振れを決めつけることはできません。
セグメント
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 流通事業 | 22.08億円 | +21.2% | 7.15億円 | +50.4% |
| リフォーム事業 | 12.14億円 | +9.7% | 2.05億円 | +10.7% |
| 開発分譲事業 | 55.04億円 | +61.2% | 3.32億円 | +121.9% |
| 賃貸事業 | 1.19億円 | +1.1% | 0.02億円 | 黒字転換 |
| 不動産取引派生事業 | 1.49億円 | +32.3% | 0.78億円 | +47.5% |
| その他 | 1.49億円 | +13.0% | 0.48億円 | +40.3% |
表の売上高はセグメント間取引を含むため、単純合計は連結売上高と一致しません。開発分譲では契約件数が33.3%、引渡件数が43.8%増え、大幅増収増益となりました。流通事業も来店顧客数が11.2%、成約件数が8.5%、中古物件の取扱件数が6.7%増加。リフォーム事業は中間期末の受注残高が10.97億円と51.0%増えており、下期売上へのつながりが注目されます。
財務安全性
総資産は177.94億円、純資産は57.78億円、自己資本比率は32.5%でした。現金及び預金は33.96億円と前期末から15.73億円増えた一方、販売用不動産30.83億円と仕掛販売用不動産44.35億円を合わせた棚卸資産は75.18億円です。流動資産123.46億円に対し流動負債は73.19億円で、流動比率は約168.7%でした。
営業キャッシュ・フローは4.17億円の収入、投資キャッシュ・フローは0.73億円の支出で、単純なフリーキャッシュ・フローは約3.44億円のプラスです。財務キャッシュ・フローは12.19億円の収入となり、現金及び現金同等物は33.86億円へ増加しました。利益は営業CFを伴っていますが、資金増加の中心には借入などの財務活動もあるため、棚卸資産の回収と負債の動きを併せて見る必要があります。
定量評価
| 指標 | 今回 | 前年同期・比較 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 11.1% | 8.5% | 2.6ポイント改善 |
| EPS成長率 | +83.7% | 28.81円→52.93円 | 利益成長を反映 |
| 営業利益進捗率 | 67.9% | 通期予想14.68億円 | 高いが季節性に注意 |
| 自己資本比率 | 32.5% | 前期末34.9% | 2.4ポイント低下 |
| ROIC | 算定保留 | 投下資本の詳細が不足 | 開示資料だけでの簡易評価は避ける |
| PER | 算定保留 | 株価データ未反映 | 市場評価は別途確認が必要 |
ポジティブ要因
- 開発分譲の引渡件数増加により、同事業の売上高は61.2%、利益は121.9%伸びました。
- 流通事業は来店・成約・中古物件取扱件数がそろって増え、セグメント利益率も改善しました。
- 営業利益率が11.1%へ上昇し、営業利益、経常利益、純利益はいずれも売上高を上回る伸びです。
- 営業CFは4.17億円の黒字で、会計上の利益に一定のキャッシュ創出が伴いました。
- 年間配当予想は前期実績21.00円から23.50円への増配予想を維持しています。
リスク要因
- 棚卸資産は75.18億円と総資産の42.3%を占めます。物件の販売時期や価格が想定からずれると、資金回収と採算に影響します。
- 自己資本比率は前期末の34.9%から32.5%へ低下しました。開発投資を進める局面では、借入負担と在庫回転の管理が重要です。
- 中古住宅の成約件数は愛知県で増えた一方、兵庫県・大阪府と東京都では前年同期を下回りました。地域市況の弱さが仲介件数に波及する可能性があります。
- 上期の利益進捗は高いものの、会社は通期予想を据え置きました。開発分譲の引渡時期や仕入れ環境によって、下期の利益は変動します。
業界動向との関連
会社が参照する不動産流通推進センターの統計では、2026年1~6月の中古住宅成約件数は愛知県が2.9%増えた一方、兵庫県・大阪府は1.4%減、東京都は5.0%減でした。仲介市場には地域差があります。この環境下でも同社の流通事業は来店と成約を伸ばしましたが、足元の増益をより強く牽引したのは自社の開発分譲です。金利、住宅取得負担、仕入価格の変化は、仲介需要と開発採算の双方に影響します。
株価への示唆
営業利益の進捗率67.9%と利益率改善は、業績上振れへの期待につながり得ます。一方で通期予想は据え置きで、株価が持続的に評価するには、下期の物件引き渡し、営業CF、棚卸資産の回転が確認材料になります。現在株価を反映したPERなどは本記事では算定していないため、割安・割高の判断は保留します。
今期の総括
中間期は、開発分譲と流通の両輪で売上高と各利益が大きく伸びた決算でした。とくに営業利益率の改善と営業CFの黒字は前向きです。ただし、開発分譲の比重が高まり、棚卸資産も膨らんでいます。増益の勢いだけでなく、物件を計画どおり引き渡して現金化できるかが決算の質を左右します。
来期見通し
2026年12月期の会社予想は、売上高167.58億円、営業利益14.68億円、経常利益13.30億円、親会社株主に帰属する当期純利益8.95億円、EPS77.51円で据え置かれました。会社は開発分譲の進捗が想定を上回る一方、今後の経済情勢を慎重に見ています。年間配当予想も23.50円で変更ありません。
総合判断
総合判断は「やや強気」です。大幅増収増益、営業利益率の改善、営業CF黒字を評価します。通期営業利益計画への進捗も高い水準です。ただし、開発分譲の引渡時期に左右される収益構造と、75.18億円まで増えた棚卸資産には注意が必要です。次回決算では、通期予想の修正有無よりも、下期の引き渡し、在庫回転、営業CFの継続性を確認したいところです。
出典
- 株式会社ウィル IR情報
- 株式会社ウィル 決算情報
- 「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」、2026年8月12日開示