決算サマリー

項目2026年3月期実績前期実績2027年3月期会社予想
売上収益161,688百万円162,015百万円172,000百万円
営業利益-18,592百万円9,428百万円11,000百万円
税引前利益-18,310百万円10,218百万円10,500百万円
親会社所有者帰属当期利益-10,693百万円7,800百万円7,500百万円
営業キャッシュフロー28,009百万円29,525百万円-
年間配当214円86.70円216円

減損の中身

今回の営業赤字は、通常の営業採算だけで説明するより、減損処理の影響を分けて見る必要がある。

減損対象金額背景
フッ化ビニリデン樹脂事業33,996百万円EV市場停滞により、車載用リチウムイオン二次電池用バインダー需要の回復に時間がかかる見通し
慢性腎不全用剤製造設備2,504百万円新規治療薬の台頭、球形吸着炭市場の縮小、薬価引き下げ
合計36,500百万円非金融資産の減損

セグメントの見方

報告セグメント合計では、営業利益145億24百万円を確保している。連結営業損失になったのは、主に報告セグメントに配分していないその他費用として減損365億円を計上したためである。

セグメント売上収益営業利益
機能製品事業61,279百万円2,134百万円
化学製品事業29,487百万円1,350百万円
樹脂製品事業36,724百万円6,913百万円
建設関連事業16,013百万円1,533百万円
その他関連事業18,183百万円2,592百万円

機能製品事業では、リチウムイオン二次電池用バインダー向けフッ化ビニリデン樹脂の売上が減少した。一方で、PGA樹脂加工品、PPS樹脂、炭素製品が支えとなり、セグメントとしては前期の営業損失から黒字へ転換した。

樹脂製品事業では、熱収縮多層フィルムの販売終了によりセグメント全体は減収減益だった。ただし、コンシューマー・グッズ分野では、NEWクレラップとシーガーの売上が増加し、売上・営業利益ともに増加した。

来期見通し

2027年3月期会社予想では、売上収益1,720億円、営業利益110億円、親会社の所有者に帰属する当期利益75億円を見込む。

年間配当は216円予想で、2026年3月期の214円から2円増配となる。ただし、予想配当性向は110.1%と高く、利益回復が遅れる場合は配当余力への見方が揺れやすい。

株価への示唆

今回の決算は、赤字の見出しだけで判断しにくい内容である。

ポジティブに見るなら、減損で将来収益計画をリセットし、2027年3月期の黒字回復を示した点が評価材料になる。営業キャッシュフローがプラスを維持している点も下支えになる。

一方で、PVDF市況の回復が遅れれば、機能製品事業の利益回復シナリオは弱くなる。配当利回りだけでなく、営業利益110億円予想の進捗を確認したい。

総合判断

クレハの2026年3月期は、PVDF関連を中心とする減損によって赤字転落した決算である。ただし、各セグメントの基礎収益や営業キャッシュフローまで崩れたわけではない。

投資家が確認すべき焦点は、PVDF市況の底打ち、機能製品事業の利益率、NEWクレラップなど樹脂製品の安定収益、年間216円配当の持続性である。

本記事は投資判断の参考情報であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

出典

クレハ「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」。