ウイングアーク1st 4432 2021年2月期通期決算 売上収益182.85億円(-2.1%) 営業利益: 32.07億円 調整後EBITDA: 65.83億円 リスク: ライセンス需要の停滞 のれん・借入金負担

決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上収益182.85億円186.77億円-2.1%190億円該当なし
営業利益32.07億円56.84億円-43.6%58.80億円該当なし
税引前利益31.53億円55.23億円-42.9%57.60億円該当なし
親会社所有者帰属利益24.52億円40.76億円-39.8%42.16億円該当なし
EPS79.45円130.65円-39.2%137.34円該当なし

通期決算では会社計画欄に次期予想を置いているため、進捗率は該当なしとしています。前年比などが非開示の場合は、決算短信側で前年実績または増減率が示されていないことを意味します。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率-39.2%当期EPSと前年同期EPSEPSが確認できる場合は、親会社所有者帰属利益の伸びと合わせて確認します。
ROE10%決算短信の収益性指標自己資本に対する利益効率を確認する材料です。
ROIC直接記載なし営業利益・総資産など投下資本の内訳が決算短信だけでは不足するため、簡易算定は保留します。
PER推移市場データ未反映過去レンジとの比較は未実施株価評価では別途市場データの確認が必要です。

営業利益率は17.5%まで低下したが、本社縮小費用などを除く調整後EBITDAは65.83億円、調整後利益は41.15億円であった。一過性費用を戻しても減益であり、コロナ禍で弱かったライセンス需要の回復が次期の焦点となる。

ポジティブ要因

営業利益の変化

SPAはペーパーレス需要を受けて売上収益6.14億円(前期比57.9%増)、MotionBoardは27.99億円(同9.6%増)となった。クラウドサービスの伸びが、ライセンス販売の落ち込みを一部補った。

売上規模の確認

営業CFは49.52億円の黒字を確保した。投資CFは1.34億円の支出にとどまり、借入返済や自己株式取得を含む財務CF46.46億円の支出を吸収して、期末現金は51.70億円となった。

財務基盤

借入金返済などで負債は前期末比41.62億円減少し、親会社所有者帰属持分比率は45.9%へ上昇した。資本は256.77億円まで増え、財務の改善は減益決算の中でも明確である。

リスク要因

利益率とキャッシュのずれ

本社オフィス縮小に伴う違約金・使用権資産の早期償却など18.49億円を計上した。営業利益43.6%減の多くはこの一過性要因だが、調整後EBITDAも7.6%減っており、本業が無傷だったわけではない。

販売数量・コスト前提の変動

次期計画は売上収益190億円、営業利益58.80億円である。リカーリング収益を土台にコロナ前の売上水準を超える前提だが、SVFとDr.Sumのライセンス受注が戻らなければ、計画の利益率31.0%は遠くなる。

市場評価の変動可能性

総資産559.09億円のうち、のれん272.48億円とその他無形資産172.06億円の比重が大きい。ソフトウェアの継続収益が鈍れば、会計上の資産価値と借入返済余力の両方が市場の確認対象となる。

財務安全性

財務安全性では、総資産559.09億円、純資産256.77億円、自己資本比率または親会社所有者帰属持分比率45.9%を確認します。キャッシュ・フローは営業CF49.52億円、投資CF-1.34億円、財務CF-46.46億円、現金及び現金同等物の期末残高51.70億円です。

業界動向との関連

企業IT投資はコロナ禍で抑制された一方、リモートワークとDXがクラウド需要を押し上げた。SVFやDr.Sumのライセンスは弱かったが、SPAとMotionBoardのクラウドが伸びており、オンプレミスから継続課金への移行速度が評価を左右する。

株価への示唆

営業利益の急減は本社縮小費用の影響が大きく、表面数値だけで収益力低下を判断しにくい。市場データを併用していないため理論株価は算定しないが、次期は調整後EBITDA71.80億円の達成とクラウド売上の伸びが評価の前提となる。

今期の総括

売上収益は2.1%減にとどまった一方、本社縮小費用などで営業利益は43.6%減った。調整後EBITDAの減少率は7.6%まで縮まる。SPAとMotionBoardは伸びたが、SVFとDr.Sumの弱さが残り、クラウド成長だけでは全社増収に届かなかった。

来期見通し

2022年2月期は売上収益190億円(前期比3.9%増)、営業利益58.80億円(同83.4%増)、親会社所有者帰属利益42.16億円(同71.9%増)を計画する。営業利益の大幅増は一過性費用の反動を含むため、調整後EBITDA71.80億円(同9.1%増)を併せて見る必要がある。

総合判断

総合判断は中立。オフィス縮小費用を除けば減益幅は小さく、営業CF49.52億円と負債削減は下支え材料である。ただし、調整後EBITDAも減少した。次期はSVF・Dr.Sumの回復と、クラウド成長が調整後利益へつながるかを確認したい。

出典

本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。

  • 「2021年2月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」、ウイングアーク1st、開示日: 2021-04-13