決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上収益1,777.54億円1,625.79億円+9.3%2,370.00億円75.0%
事業利益217.44億円181.33億円+19.9%270.00億円80.5%
営業利益220.54億円183.46億円+20.2%270.00億円81.7%
親会社所有者帰属利益154.97億円127.11億円+21.9%185.00億円83.8%
EPS148.10円118.90円+24.6%176.98円83.7%

売上進捗75.0%に対し、営業利益進捗は81.7%だった。第3四半期時点では、利益側の計画達成余地が大きく見える内容である。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率+24.6%前年同期比利益成長と自己株式消却の効果が反映された。
親会社所有者帰属持分比率53.2%前期末52.9%50%台を維持し、財務余力は残る。
営業CF162.26億円前年同期232.82億円黒字だが、税金支払いなどで前年同期から減少した。

営業利益率は12.4%で、前年同期の11.3%から改善した。売上増だけでなく、平均単価の上昇が利益率の改善に効いている。

ポジティブ要因

国内技術者基盤の拡大

国内在籍技術者数は26,808人、前年同期末比1,882人増加した。高稼働率のなかでも人員数を積み上げられており、売上成長の主因になっている。

単価上昇が継続

月次平均売上単価は698千円で、前年同期比22千円上昇した。単価改善は、採用費や教育研修費の増加を吸収し、営業利益率を押し上げる重要なKPIである。

R&Dアウトソーシングが主力として伸長

R&Dアウトソーシング事業の売上収益は1,393.29億円、前年同期比11.5%増だった。IT分野を中心とする需要と、デジタル領域へのスキル転換が続いた。

リスク要因

高稼働率による供給制約

平均稼働率は95.5%と高く、会社は新たなオーダーに対応するリソース不足を課題としている。需要はあるが、人材供給が追いつかなければ売上成長は鈍化しやすい。

キャッシュ・フローの伸び悩み

営業CFは162.26億円の収入だったが、前年同期の232.82億円から減少した。法人所得税支払額93.60億円などが影響しており、利益とキャッシュの伸びは完全には一致していない。

海外事業の減収

海外事業の売上収益は183.03億円、前年同期比4.8%減だった。国内R&Dが伸びる一方、海外は景気動向や地政学リスクの影響を受けやすい。

財務安全性

総資産は1,513.59億円、資本合計は813.86億円、親会社所有者帰属持分比率は53.2%だった。現金及び現金同等物は372.27億円で前期末から80.14億円減少した。営業CFは黒字を維持したが、配当金支払、リース負債返済、社債償還、自己株式取得により財務CFは225.56億円の支出となった。

業界動向との関連

技術者派遣では、AI、ソフトウエア、半導体、製造業DXなどの需要が続く一方、採用難と退職率上昇が業界共通の制約になっている。テクノプロHDはAIエンジン搭載の退職予測システムも活用しており、単なる人員増ではなく定着率の管理が収益性に直結する。

株価への示唆

第3四半期時点では利益進捗が8割を超え、通常なら上振れ期待を誘いやすい決算だった。ただし、市場が技術者派遣会社を見る際は、売上よりも稼働率、単価、採用コスト、退職率の持続性を重視しやすい。同社株式はその後上場廃止となっているため、株価水準やPERを使った評価は行わず、過去決算の履歴として整理する。

今期の総括

第3四半期累計は増収増益を維持し、利益進捗は通期計画に対して十分な水準だった。強さはR&Dアウトソーシングと単価改善にあり、弱さは海外事業とキャッシュ・フローの伸び悩みにある。

来期見通し

会社は2025年6月期通期計画を据え置き、売上収益2,370.00億円、営業利益270.00億円、親会社所有者帰属当期利益185.00億円、EPS176.98円を見込んだ。配当予想も中間30.00円、期末60.00円、年間90.00円で修正なしだった。

総合判断

総合判断は中立である。利益進捗と単価改善は強いが、稼働率がすでに95%台にあり、追加成長には人員採用と退職抑制が必要になる。次の確認点は、通期着地で営業利益270億円をどれだけ上回れるかだった。

出典

  • テクノプロ・ホールディングス株式会社「2025年6月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」、開示日: 2025-04-30