決算サマリー
| 項目 | 2025年6月期実績 | 売上高比率 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 229.39億円 | 100.0% | IPO資料掲載値 |
| 売上総利益 | 60.59億円 | 26.4% | 粗利率26.4% |
| 営業利益 | 31.39億円 | 13.7% | 二桁営業利益率 |
| EBITDA | 50.59億円 | 22.1% | 営業利益に減価償却費・のれん償却費を加算 |
| 経常利益 | 23.89億円 | 10.4% | 営業外費用の影響も確認対象 |
| 当期純利益 | 15.95億円 | 7.0% | EPSは49.80円 |
| 1株当たり当期純利益 | 49.80円 | - | 株式分割反映後の参考値 |
| 1株当たり配当金 | 0円 | - | 配当実績なし |
2025年6月期は、売上高229.39億円に対して営業利益31.39億円を確保している。営業利益率は13.7%で、再エネ・PPA・エナジートレーディングを扱う企業としては、IPO前に一定の収益性が確認できる内容だ。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 見方 |
|---|---|---|
| 営業利益率 | 13.7% | 上場前の通期実績としては利益水準を確認しやすい |
| EBITDAマージン | 22.1% | 設備保有・償却負担を含む事業構造を見る補助指標 |
| 経常利益率 | 10.4% | 営業外費用を含めた利益水準 |
| 純利益率 | 7.0% | 最終利益ベースでは一桁台 |
| EPS | 49.80円 | 想定発行価格710円と比較すると参考PERは約14.3倍 |
| 配当 | 0円 | 成長投資優先の位置付け |
想定発行価格710円を単純に2025年6月期EPS49.80円で割ると、参考PERは約14.3倍となる。ただし、これは公開価格ではなく想定発行価格を使った参考値であり、仮条件・公開価格決定後に再計算が必要だ。
ポジティブ要因
売上規模と利益水準
2025年6月期の売上高は229.39億円、営業利益は31.39億円だった。上場前のGX関連企業として、売上規模と黒字水準の両方を確認できる点は評価材料になる。
2026年6月期・2027年6月期の成長予想
同じIPO資料では、2026年6月期予想として売上高254.64億円、営業利益32.38億円、2027年6月期予想として売上高309.66億円、営業利益38.44億円が示されている。2025年6月期実績を起点に、会社側は増収増益の継続を見込んでいる。
GXソリューションの成長余地
同社はオンサイトソーラー、PPAサービス、エナジートレーディングを軸に事業を展開している。脱炭素、電力コスト、再エネ調達のテーマと結びつきやすく、IPO市場で説明しやすい事業内容ではある。
リスク要因
設備投資とキャッシュフローの確認
営業利益率は確認できるが、PPAサービスや太陽光発電設備を扱う事業では、設備投資、減価償却、借入金、運転資金の動きも重要になる。利益だけでなく、営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローを確認したい。
IPO需給は軽くない
募集・売出しリリースでは、想定発行価格710円、公募2,689,000株、売出8,051,500株、オーバーアロットメント上限1,611,000株が示されている。想定価格ベースの吸収金額は約87.7億円で、東証グロースIPOとしては軽い案件ではない。
配当より成長投資を優先
2025年6月期の1株当たり配当金は0円だった。同社は成長投資や財務体質強化を優先する段階にあり、配当利回りではなく、成長率と資金使途を見て評価する銘柄になる。
財務安全性
今回のIPO業績予想資料だけでは、総資産、純資産、自己資本比率、営業キャッシュ・フローの詳細までは十分に確認できない。上場前の評価では、有価証券届出書や目論見書で借入金、設備保有リスク、運転資金、キャッシュ・フロー計算書を確認する必要がある。
業界動向との関連
GX、再エネ、PPA、蓄電池、エナジートレーディングは、脱炭素投資や電力価格の変動と結びつきやすい。一方で、制度変更、金利、設備価格、工事遅延、電力需給の影響も受ける。事業テーマだけでなく、契約済案件の積み上がりと設備投資負担をセットで見たい。
株価への示唆
603Aは、IPO前のため市場株価が存在しない。想定発行価格710円を使うと、2025年6月期EPS49.80円ベースの参考PERは約14.3倍となる。ただし、公開価格、仮条件、親引け、需給、ロックアップ解除条件で評価は変わる。
数字は悪くない。問題はIPO需給だ。売上成長と二桁営業利益率は見える一方、想定吸収金額は約87.7億円あるため、初値評価では「成長性」と「需給の重さ」を同時に見る必要がある。
今期の総括
2025年6月期は、売上高229.39億円、営業利益31.39億円、当期純利益15.95億円という内容だった。営業利益率13.7%、EBITDAマージン22.1%と、利益率の面では一定の見栄えがある。
ただし、再エネ関連企業は利益だけでは判断しにくい。売上より利益、利益よりキャッシュ。上場前には、設備投資、借入金、キャッシュ・フロー、PPA契約の期間、電力取引の収益構造を確認したい。
来期見通し
会社側は2026年6月期予想として、売上高254.64億円、営業利益32.38億円、当期純利益17.23億円を見込んでいる。さらに2027年6月期予想では、売上高309.66億円、営業利益38.44億円、当期純利益21.40億円を見込む。
2025年6月期実績から見ると、売上成長は続く計画だ。あとは、成長投資と設備負担をこなしながら、どこまでキャッシュ創出を伴えるかが焦点になる。
総合判断
総合判断は中立である。2025年6月期実績では、売上規模、営業利益率、黒字水準を確認できる。一方で、IPOとしては想定吸収金額が大きく、公開価格ベースのバリュエーションと需給を見ないと初値評価は出しにくい。
現時点では「業績は確認できるが、IPO需給は軽くないGX関連銘柄」と整理するのが自然だ。
出典
本記事は、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズが公表したIPO関連資料を基に作成しています。
- 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ「2026年6月期及び2027年6月期の業績予想について」、公表日: 2026年6月25日 https://igrid.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/2026-%E5%B9%B4%EF%BC%96%E6%9C%88%E6%9C%9F%E5%8F%8A%E3%81%B3-2027%E5%B9%B4%EF%BC%96%E6%9C%88%E6%9C%9F%E3%81%AE%E6%A5%AD%E7%B8%BE%E4%BA%88%E6%83%B3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf
- 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ「募集株式発行並びに株式売出しに関する取締役会決議のお知らせ」、公表日: 2026年6月25日 https://igrid.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/%E5%8B%9F%E9%9B%86%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E7%99%BA%E8%A1%8C%E4%B8%A6%E3%81%B3%E3%81%AB%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E5%A3%B2%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8F%96%E7%B7%A0%E5%BD%B9%E4%BC%9A%E6%B1%BA%E8%AD%B0%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B.pdf