決算サマリー
| 項目 | 2026年6月期3Q累計実績 | 売上高比率 | 2026年6月期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 185.43億円 | 100.0% | 254.64億円 | 72.8% |
| 売上総利益 | 51.10億円 | 27.6% | 66.86億円 | 76.4% |
| 営業利益 | 26.53億円 | 14.3% | 32.38億円 | 81.9% |
| EBITDA | 42.57億円 | 23.0% | 54.01億円 | 78.8% |
| 経常利益 | 21.31億円 | 11.5% | 24.97億円 | 85.3% |
| 四半期純利益 | 14.99億円 | 8.1% | 17.23億円 | 87.0% |
| 1株当たり四半期純利益 | 46.70円 | - | 53.69円 | - |
3Q累計時点では、営業利益の通期予想進捗率が81.9%、経常利益が85.3%、純利益が87.0%となっている。利益面の進捗は高めに見えるが、同社は四半期ごとに収益の出方が異なるため、単純な4分の3進捗だけで判断しない方がよい。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 見方 |
|---|---|---|
| 営業利益率 | 14.3% | 通期予想12.7%を上回る水準 |
| EBITDAマージン | 23.0% | 設備保有・償却負担を含む事業構造を見る補助指標 |
| 経常利益率 | 11.5% | 通期予想9.8%を上回る |
| 純利益率 | 8.1% | 通期予想6.8%を上回る |
| 営業利益進捗率 | 81.9% | 利益進捗は高め |
| 純利益進捗率 | 87.0% | 3Q累計時点では通期予想に対して高進捗 |
3Q累計の見た目は強い。特に営業利益率14.3%は、2025年6月期実績の13.7%、2026年6月期通期予想の12.7%を上回っている。問題は、この利益率を上場後も安定的に維持できるかだ。
ポジティブ要因
利益進捗が高い
2026年6月期3Q累計の営業利益は26.53億円で、通期予想32.38億円に対する進捗率は81.9%となる。経常利益と純利益も通期予想に対して80%台後半まで進んでおり、IPO前の業績確認としては見栄えがある。
売上総利益率が高め
売上総利益率は27.6%で、2025年6月期実績の26.4%、2026年6月期通期予想の26.3%を上回っている。売上だけでなく粗利率も確認できる点は評価材料になる。
2027年6月期も増収増益予想
同社は2027年6月期予想として、売上高309.66億円、営業利益38.44億円、当期純利益21.40億円を見込んでいる。3Q累計実績が順調に見えるだけでなく、翌期も増収増益計画が示されている。
リスク要因
季節性の影響
同社資料では、GXソリューション事業は工事を行いやすい第2四半期と第4四半期、エナジートレーディング事業は電力需要が増加する第1四半期と第3四半期に収益が比較的大きくなる傾向があると説明されている。3Q累計の進捗率が高くても、四半期ごとの収益構成を確認する必要がある。
設備投資とキャッシュフロー
営業利益率は高いが、PPAサービスや太陽光発電設備を扱う事業では、設備投資、減価償却、借入金、運転資金の動きが重要になる。利益だけでなく、営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローを確認したい。
IPO需給は軽くない
募集・売出しリリースでは、想定発行価格710円、公募2,689,000株、売出8,051,500株、オーバーアロットメント上限1,611,000株が示されている。想定価格ベースの吸収金額は約87.7億円で、東証グロースIPOとしては軽い案件ではない。
財務安全性
今回のIPO業績予想資料だけでは、総資産、純資産、自己資本比率、営業キャッシュ・フローの詳細までは十分に確認できない。上場前の評価では、有価証券届出書や目論見書で借入金、設備保有リスク、運転資金、キャッシュ・フロー計算書を確認する必要がある。
業界動向との関連
GX、再エネ、PPA、蓄電池、エナジートレーディングは、脱炭素投資や電力価格の変動と結びつきやすい。一方で、制度変更、金利、設備価格、工事遅延、電力需給の影響も受ける。3Q累計の利益率だけでなく、契約済案件の積み上がりと設備投資負担をセットで見たい。
株価への示唆
603Aは、IPO前のため市場株価が存在しない。想定発行価格710円を使うと、2026年6月期予想EPS53.69円ベースの参考PERは約13.2倍となる。ただし、これは公開価格ではなく想定発行価格を使った参考値であり、仮条件・公開価格決定後に再計算が必要だ。
3Q累計の利益進捗は悪くない。むしろ利益面はかなり進んでいる。問題は、公開価格ベースの評価と、約87.7億円の想定吸収金額を市場がどう受け止めるかだ。
今期の総括
2026年6月期3Q累計は、売上高185.43億円、営業利益26.53億円、四半期純利益14.99億円という内容だった。営業利益率14.3%、EBITDAマージン23.0%と、利益率の面では見栄えがある。
ただし、再エネ関連企業は利益だけでは判断しにくい。売上より利益、利益よりキャッシュ。上場前には、設備投資、借入金、キャッシュ・フロー、PPA契約の期間、電力取引の収益構造を確認したい。
通期見通し
会社側は2026年6月期予想として、売上高254.64億円、営業利益32.38億円、当期純利益17.23億円を見込んでいる。3Q累計時点の進捗率は、売上高72.8%、営業利益81.9%、当期純利益87.0%となる。
さらに2027年6月期予想では、売上高309.66億円、営業利益38.44億円、当期純利益21.40億円を見込む。上場後は、2026年6月期着地と2027年6月期計画の確度が評価の焦点になる。
総合判断
総合判断は中立である。2026年6月期3Q累計では、利益進捗と利益率の高さを確認できる。一方で、IPOとしては想定吸収金額が大きく、公開価格ベースのバリュエーションと需給を見ないと初値評価は出しにくい。
現時点では「3Q累計の利益進捗は良いが、IPO需給は軽くないGX関連銘柄」と整理するのが自然だ。
出典
本記事は、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズが公表したIPO関連資料を基に作成しています。
- 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ「2026年6月期及び2027年6月期の業績予想について」、公表日: 2026年6月25日 https://igrid.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/2026-%E5%B9%B4%EF%BC%96%E6%9C%88%E6%9C%9F%E5%8F%8A%E3%81%B3-2027%E5%B9%B4%EF%BC%96%E6%9C%88%E6%9C%9F%E3%81%AE%E6%A5%AD%E7%B8%BE%E4%BA%88%E6%83%B3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf
- 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ「募集株式発行並びに株式売出しに関する取締役会決議のお知らせ」、公表日: 2026年6月25日 https://igrid.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/%E5%8B%9F%E9%9B%86%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E7%99%BA%E8%A1%8C%E4%B8%A6%E3%81%B3%E3%81%AB%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E5%A3%B2%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8F%96%E7%B7%A0%E5%BD%B9%E4%BC%9A%E6%B1%BA%E8%AD%B0%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B.pdf