決算サマリー
| 項目 | 2027年6月期予想 | 2026年6月期予想 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 309.66億円 | 254.64億円 | +21.6% | 309.66億円 | 該当なし |
| 営業利益 | 38.44億円 | 32.38億円 | +18.7% | 38.44億円 | 該当なし |
| 経常利益 | 30.80億円 | 24.97億円 | +23.3% | 30.80億円 | 該当なし |
| 純利益 | 21.40億円 | 17.23億円 | +24.2% | 21.40億円 | 該当なし |
| EPS | 61.88円 | 53.69円 | +15.3% | 61.88円 | 該当なし |
増収増益計画だが、EPSの増加率は純利益の増加率を下回る。2027年6月期EPSは公募2,689,000株を含む予定期中平均株式数で計算され、オーバーアロットメントに伴う第三者割当増資は考慮していない。
セグメント
| セグメント | 2027年6月期売上予想 | 前期予想 | 増減率 | 売上総利益予想 | 主な前提 |
|---|---|---|---|---|---|
| GXソリューション | 171.47億円 | 134.42億円 | +27.6% | 49.40億円 | PPA、アライアンス、インテグレーションの稼働拡大 |
| エナジートレーディング | 141.76億円 | 122.55億円 | +15.7% | 26.23億円 | 循環型電力の新規獲得と販売量・単価の積み上げ |
| 全社 | 309.66億円 | 254.64億円 | +21.6% | 75.63億円 | セグメント間取引消去後 |
セグメント売上高の合計は全社売上高を3.57億円上回り、この差はセグメント間取引消去である。セグメント別営業利益は予想資料に開示されていない。GXの売上総利益率は31.6%から28.8%、エナジートレーディングは19.9%から18.5%へ低下する計画で、売上増ほど粗利益は伸びない。
財務安全性
2027年6月期の貸借対照表とキャッシュ・フロー予想は開示されていない。直近の2026年3月末は自己資本比率19.1%、借入金191.35億円、リース債務73.02億円だった。PPA設備とシステム投資を続ける計画のため、利益成長だけでなく、上場増資後の純資産、営業CF、設備投資、純有利子負債の推移が必要になる。
定量評価
| 指標 | 2027年6月期予想 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +15.3% | 2026年6月期予想比 | 公募株式を含む希薄化後の伸び |
| 営業利益率 | 12.4% | 前期予想12.7% | 増益でも利益率は0.3ポイント低下 |
| ROIC | 開示なし | 投下資本予想なし | 設備投資を伴うため通期実績で確認 |
| 参考PER | 約12.4倍 | 公開価格770円 / 予想EPS61.88円 | 上場時価格による単純計算、過去レンジなし |
売上高は21.6%増、営業利益は18.7%増で、営業利益率はわずかに低下する。量は伸びる。問題は、設備・人員・上場維持コストを吸収した後に資本効率が改善するかだ。
ポジティブ要因
GXソリューションが成長を主導
GXソリューション売上高は前期予想比27.6%増の171.47億円を計画する。ストック型のPPAに加え、アライアンスとインテグレーションの稼働案件を積み上げる。
経常利益は23.3%増
経常利益は30.80億円を予想し、営業利益の18.7%増を上回る伸びを見込む。計画どおりなら、営業外費用を吸収しながら最終増益へつなげる形になる。
EBITDAは61.76億円
EBITDAは14.3%増の61.76億円。減価償却費を含む売上原価は重いが、設備保有型モデルのキャッシュ創出力を見る補助指標としては増加を計画している。
リスク要因
売上総利益率は24.4%へ低下
売上総利益は13.1%増の75.63億円だが、売上高の伸びを下回る。全社の粗利益率は前期予想26.3%から24.4%へ1.9ポイント下がる。
GXの原価増が売上を上回る
GXソリューションは売上高27.6%増に対して売上原価32.7%増を見込む。案件構成や設備コストによって、成長率ほど利益が残らない可能性を会社計画自体が示している。
金利と開発遅延
PPA設備は借入金・リースを使って開発する。金利上昇に加え、天候、資材供給、EPC事業者、送配電事業者の事情で工事が遅れると、売上計上と資金回収の両方が後ずれする。
2027年6月期も無配予想
年間配当予想は0円。利益成長を計画していても、当面は設備投資と財務基盤を優先するため、配当による下値支持を期待する銘柄ではない。
業界動向との関連
企業の再エネ調達、電力コスト削減、脱炭素対応はオンサイトPPAの需要を支える。アイ・グリッドは発電設備の開発と電力供給を一体化できる一方、電力市場価格と設備投資サイクルの双方にさらされる。再エネ市場の拡大が、そのまま高い粗利益率を保証するわけではない。
株価への示唆
上場初日の終値830円を2027年6月期予想EPS61.88円で割ると参考PERは約13.4倍。初値953円からは値を下げたものの、公開価格770円は上回って終えた。ただし、予想EPSには公募株式を反映する一方、オーバーアロットメントに伴う第三者割当増資は未反映である。株価の持続的な評価には、営業CFが設備投資と利払いをどこまで賄うかの確認が必要になる。
今期の総括
2027年6月期は売上高21.6%増、純利益24.2%増を目指す成長計画である。主役はGXソリューション。ただし、同事業の原価は売上より速く増える。増収の見栄えと利益の質を分けて読むべき計画だ。
来期見通し
2027年6月期は売上高309.66億円、営業利益38.44億円、経常利益30.80億円、純利益21.40億円、EPS61.88円を予想する。PPA設備とR.E.A.L. New Energy Platformを中心とする減価償却費は22.54億円を見込み、年間配当は0円の計画である。
総合判断
総合判断は中立である。GXソリューションの27.6%増収と最終24.2%増益は前向きだが、粗利益率低下、設備投資、金利負担を考えると、売上成長だけで強気には傾けにくい。営業CF、純有利子負債、上場後の自己資本比率が改善すれば、計画の質を再評価しやすくなる。
関連ページ
出典
本記事は、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズが開示した業績予想資料を基に作成しています。
- 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ「東京証券取引所グロース市場への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」、開示日: 2026-07-29
- 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ「2026年6月期及び2027年6月期の業績予想について」、開示日: 2026-06-25