決算サマリー
2025年6月期は、エブリーが損益分岐点にかなり近づいた期である。売上高は42.50億円、売上総利益は26.58億円となった。販管費は26.82億円で、営業損失は0.24億円まで縮小した。
| 項目 | 2025年6月期実績 | 2024年6月期実績 | 増減率・前年差 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 42.50億円 | 33.59億円 | +26.5% |
| 売上総利益 | 26.58億円 | 21.95億円 | +21.1% |
| 営業利益(損失) | -0.24億円 | -6.42億円 | 赤字幅6.18億円縮小 |
| 経常利益(損失) | -0.30億円 | -6.44億円 | 赤字幅6.13億円縮小 |
| 当期純利益(損失) | -0.32億円 | -7.71億円 | 赤字幅7.38億円縮小 |
| EPS | -6.55円 | -154.27円 | 赤字幅は大きく縮小 |
| 営業キャッシュ・フロー | -0.82億円 | -5.87億円 | 流出幅縮小 |
| 現金及び現金同等物 | 17.41億円 | 18.95億円 | -1.53億円 |
売上は増え、赤字は大きく縮んだ。ここまでは前向きだ。ただし、営業利益はまだ黒字化しておらず、営業キャッシュ・フローも小幅ながらマイナスだった。
定量評価
| 指標 | 実績 | 見方 |
|---|---|---|
| 売上成長率 | +26.5% | 主力の広告ソリューションが伸長 |
| 売上総利益率 | 62.5% | 前期65.3%からやや低下 |
| 営業損失率 | -0.6% | 損益分岐点に近づいた |
| 自己資本比率 | 52.66% | 前期からほぼ横ばい |
| EPS | -6.55円 | 赤字幅は大きく縮小 |
2025年6月期は、2024年6月期よりかなり見やすい。売上成長で販管費をほぼ吸収し、営業赤字率は-0.6%まで改善した。IPO前の投資家が見るなら、次の確認点は「黒字化できるか」ではなく「黒字化した後にどれだけ利益率を残せるか」へ移る。
売上構成
| 区分 | 2025年6月期 | 2024年6月期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| Marketing Solutionビジネス | 31.44億円 | 22.68億円 | +38.6% |
| Consumerビジネス | 4.36億円 | 4.00億円 | +8.8% |
| その他ビジネス | 6.70億円 | 6.90億円 | -2.9% |
| 合計 | 42.50億円 | 33.59億円 | +26.5% |
伸びを作ったのはMarketing Solutionだ。デリッシュキッチンを中心としたオンライン接点と、小売店頭の広告・販促接点を広告主向けに売る構造が、売上面では効いている。
ポジティブ要因
赤字幅が大きく縮小
営業損失は6.42億円から0.24億円へ縮小した。売上成長が販管費を吸収し始めており、固定費負担の重さはかなり和らいだ。
Marketing Solutionが高成長
Marketing Solutionビジネスは前期比38.6%増の31.44億円だった。食品メーカーなど広告主向けの広告・販促支援が主力として厚くなっている。
営業CFの流出も縮小
営業キャッシュ・フローは0.82億円のマイナスだった。まだプラスではないが、前期の5.87億円流出からはかなり改善している。
リスク要因
営業黒字には届いていない
営業損失は0.24億円まで縮んだが、まだ黒字ではない。上場前資料で見る限り、2025年6月期だけでは利益の再現性を強く言い切れない。
粗利率は低下
売上総利益率は65.3%から62.5%へ低下した。絶対水準は高いが、広告売上原価や事業構成の変化が利益率にどう効くかは確認したい。
広告予算への依存
同社の成長はMarketing Solutionにかなり寄っている。広告主の出稿意欲が鈍れば、売上成長や顧客単価に影響が出やすい。
財務安全性
2025年6月期末の総資産は24.45億円、純資産は12.87億円、自己資本比率は52.66%だった。現金及び現金同等物は17.41億円で、前期末から1.53億円減少している。営業CFは0.82億円のマイナス、投資CFは0.38億円のマイナス、財務CFは0.32億円のマイナスだった。流出は小さいが、黒字化後の営業CFプラス転換を見たい。
株価への示唆
2025年6月期は非上場期の実績であり、赤字決算のためPER評価はできない。ただ、営業赤字がほぼ解消されたことで、2024年6月期よりIPO評価はしやすくなった。市場が見るのは、デリッシュキッチンの知名度そのものではなく、広告ソリューションの伸びが営業利益に転じるかどうかだ。
今期の総括
2025年6月期は、売上高42.50億円、営業損失0.24億円、当期純損失0.32億円だった。まだ赤字だが、2024年6月期からの改善幅は大きい。事業の説明力は増した一方、上場後に継続評価されるには、営業利益と営業キャッシュ・フローの両方をプラスで見せる必要がある。
来期見通し
2026年6月期は、第2四半期累計で売上高25.97億円、営業利益2.44億円、中間純利益2.43億円となった。2025年6月期に損益分岐点へ近づいた後、翌期前半で黒字化している。
総合判断
総合判断は中立である。売上成長と赤字縮小は明確で、IPO前の改善ストーリーは作れている。一方で、2025年6月期単体では営業黒字と営業CFプラスを確認できない。評価を強めるには、2026年6月期の黒字化が一過性ではないことを見たい。
出典
本記事は、株式会社エブリーのIPO関連資料を基に作成しています。
- 日本取引所グループ「新規上場申請のための有価証券報告書 株式会社エブリー」、公表日: 2026年6月30日