決算サマリー

2026年6月期中間期は、エブリーが赤字縮小局面から黒字局面へ移った期間である。売上高は25.97億円、売上総利益は15.84億円、営業利益は2.44億円だった。

項目2026年6月期2Q累計実績売上高比率備考
売上高25.97億円100.0%前年中間期比 +26.8%
売上総利益15.84億円61.0%前年中間期比 +20.7%
営業利益2.44億円9.4%黒字転換
経常利益2.45億円9.5%黒字転換
中間純利益2.43億円9.4%黒字転換
EPS48.76円-中間純利益ベース
営業キャッシュ・フロー0.18億円-小幅ながらプラス
現金及び現金同等物17.54億円-中間期末残高

2025年6月期通期では営業赤字が小さく残っていたが、2026年6月期中間期では営業利益率9.4%まで改善している。ここはIPO評価でかなり見られる部分だ。

定量評価

指標実績見方
売上成長率+26.8%前年中間期比
売上総利益率61.0%高いが前年中間期比では低下
営業利益率9.4%黒字転換後としては見栄えがある
純利益率9.4%最終利益も残る
自己資本比率約58.1%中間期末の純資産ベース
EPS48.76円中間純利益ベース

黒字転換ははっきりしている。問題は、この2Q累計の利益率を通期でも維持できるかだ。広告事業は年度末や広告主予算の動きで四半期の偏りが出やすく、中間期の数字だけで安定利益とは言い切れない。

ポジティブ要因

営業・経常・純利益が黒字転換

営業利益2.44億円、経常利益2.45億円、中間純利益2.43億円となった。2025年6月期通期では赤字が残っていたため、IPO前の見え方はかなり改善している。

売上成長が続く

売上高は前年中間期比26.8%増だった。主力のMarketing Solutionを中心に、広告主向けの支援が伸びていると見られる。

営業CFもプラス

営業活動によるキャッシュ・フローは0.18億円のプラスだった。金額は小さいが、赤字縮小期から黒字化局面に入ったことをキャッシュ面でも少し確認できる。

リスク要因

営業CFの余裕はまだ小さい

営業CFはプラスだが、0.18億円にとどまる。売上債権の増加1.67億円が資金を使っており、利益の見た目ほどキャッシュが厚く増えたわけではない。

粗利率はやや低下

中間期の売上総利益率は61.0%だった。2025年6月期通期の62.5%、2024年6月期通期の65.3%と比べると低下傾向で、広告原価や事業ミックスの確認が必要だ。

広告市場の影響を受ける

エブリーの収益は広告主向けソリューションに寄っている。食品・小売に近い領域とはいえ、広告宣伝費の抑制や出稿タイミングの変化が業績に出やすい。

財務安全性

2026年6月期中間期末の総資産は26.37億円、純資産は15.31億円、自己資本比率は約58.1%だった。現金及び現金同等物は17.54億円で、前期末から0.13億円増加している。営業CFは0.18億円のプラス、投資CFはほぼ横ばい、財務CFは0.04億円のマイナスだった。財務は改善方向に見えるが、まだ営業CFの厚みは大きくない。

株価への示唆

607AはIPO前で市場株価が存在しない。公開価格も未確認のため、PERやPSRの評価はまだできない。ただし中間純利益2.43億円、1株当たり中間純利益48.76円という数字は、公開価格が出た後の利益倍率を見る材料になる。市場が強気になるには、黒字転換が一時的ではなく、3Q、通期に続くことが必要だ。

今期の総括

2026年6月期2Q累計は、売上高25.97億円、営業利益2.44億円、中間純利益2.43億円だった。2025年6月期のほぼ損益均衡から、明確な黒字へ進んだ点は大きい。一方で、営業CFはまだ小さく、粗利率の低下も見える。利益の質をもう一段確認したい。

通期見通し

通期会社予想は確認できていないため、進捗率は算出しない。IPO評価では、2026年6月期第3四半期累計の利益水準、仮条件、公開価格、売出し中心の需給をあわせて見る必要がある。

総合判断

総合判断は中立である。中間期で営業黒字、経常黒字、純利益黒字を確認できたことは前向きだ。一方、広告事業の季節性、営業CFの薄さ、公開価格未確認という制約がある。現時点では「黒字転換は評価できるが、通期と需給を見てから判断したいIPO」と整理する。

出典

本記事は、株式会社エブリーのIPO関連資料を基に作成しています。

  • 日本取引所グループ「新規上場申請のための有価証券報告書 株式会社エブリー」、公表日: 2026年6月30日