決算サマリー

2026年6月期3Q累計は、IPO時点で確認できる最も新しい業績である。売上高は38.30億円、売上総利益は23.50億円、営業利益は3.23億円だった。2Q累計に続いて黒字を維持しており、上場前の見え方は悪くない。

項目2026年6月期3Q累計実績売上高比率備考
売上高38.30億円100.0%前年同期比 +21.5%
売上総利益23.50億円61.4%前年同期比 +18.0%
営業利益3.23億円8.4%黒字転換
経常利益3.23億円8.4%黒字転換
四半期純利益3.20億円8.4%黒字転換
EPS46.30円-3Q累計ベース
総資産26.92億円-2026年3月末

3Q累計の売上高は、2025年6月期通期の42.50億円に近い水準まで積み上がっている。営業利益率は8.4%で、中間期の9.4%からは少し下がったが、黒字は維持した。

定量評価

指標実績見方
売上成長率+21.5%前年同期比
売上総利益率61.4%高水準だが通期過去実績よりやや低い
営業利益率8.4%2Q累計からやや低下
純利益率8.4%最終利益も残る
自己資本比率約59.7%純資産16.08億円ベース
EPS46.30円3Q累計の四半期純利益ベース

3Q累計は、上場前企業としてはかなり読みやすい数字になった。赤字縮小ではなく黒字化後の利益率を見られるからだ。ただし広告事業は季節性があり、4Qの着地と公開価格ベースの評価を見ないと、強い判断はまだ出しにくい。

売上構成

区分2026年6月期3Q累計構成比
Marketing Solutionビジネス30.20億円78.8%
Consumerビジネス3.50億円9.1%
その他ビジネス4.60億円12.0%
合計38.30億円100.0%

Marketing Solutionの比重がさらに高まっている。広告主向けのタイアップ広告、店頭サイネージ広告、運用型広告、小売データを使った販促支援が、上場前の収益の柱だ。

KPI

項目2026年6月期3Q累計
Marketing Solution売上高3,020百万円
顧客社数577社
ロイヤル顧客数66社
顧客単価5.2百万円

顧客社数は577社で、2025年6月期通期の588社と近い。一方でロイヤル顧客数は66社となり、2025年6月期の62社から増えている。単なる顧客数より、継続・高単価顧客を増やせるかが利益率に効く。

ポジティブ要因

黒字を3Q累計でも維持

営業利益3.23億円、経常利益3.23億円、四半期純利益3.20億円となった。中間期に続き、3Q累計でも黒字を維持している。

Marketing Solutionが売上の中心

Marketing Solutionビジネスは30.20億円で、売上構成比は78.8%だった。主力事業への集中が進み、IPO時点で事業の見え方はかなり明確になっている。

純資産が増加

3Q末の純資産は16.08億円で、2025年6月期末の12.87億円から増えた。四半期純利益の積み上がりで財務余力も少し厚くなっている。

リスク要因

営業利益率は2Q累計から低下

営業利益率は2Q累計の9.4%から、3Q累計では8.4%へ下がった。黒字は維持しているが、利益率が右肩上がりというわけではない。

四半期キャッシュ・フローは未作成

3Q累計の四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。利益が出ている一方、営業CFの厚みは中間期までしか確認できない。ここは上場後も見たい。

売出し中心のIPO需給

607Aは売出株式数が公募株式数を大きく上回るIPOである。業績が黒字化していても、公開価格、吸収金額、ロックアップ条件によって初値評価は変わる。

財務安全性

2026年3月末の総資産は26.92億円、純資産は16.08億円、自己資本比率は約59.7%だった。現金及び預金は18.88億円で、流動資産は25.94億円ある。負債合計は10.83億円で、うち長期借入金は3.00億円、1年以内返済予定の長期借入金は2.00億円だった。財務面は改善しているが、3Q累計の営業CFは開示されていないため、利益と現金の対応は次の確認点になる。

株価への示唆

607AはIPO前で市場株価が存在しない。公開価格も未確認のため、PERや時価総額評価はまだできない。3Q累計のEPS46.30円は、公開価格が決まった後の参考材料にはなる。ただし3Q累計EPSをそのまま年換算して評価するのは早い。広告事業の季節性、IPO需給、売出し株数を合わせて見る必要がある。

今期の総括

2026年6月期3Q累計は、売上高38.30億円、営業利益3.23億円、四半期純利益3.20億円だった。2025年6月期通期でほぼ損益均衡だった会社が、上場前の最新期では黒字を見せている。数字は改善している。あとは、通期の利益率、営業CF、公開価格ベースの評価で市場がどこまで納得するかだ。

通期見通し

通期会社予想は確認できていないため、進捗率は算出しない。2026年6月期の最終着地、仮条件、公開価格、吸収金額、売出し後の需給が次の確認点になる。

総合判断

総合判断は中立である。3Q累計で売上成長と黒字化を確認でき、IPO前の業績説明はかなりしやすくなった。一方で、営業CFの未確認、広告市場の感応度、売出し中心の需給が残る。現時点では「業績は改善、ただし価格条件待ち」と見るのが自然だ。

出典

本記事は、株式会社エブリーのIPO関連資料を基に作成しています。

  • 日本取引所グループ「新規上場申請のための有価証券報告書 株式会社エブリー」、公表日: 2026年6月30日