決算サマリー
2026年8月期中間期(2025年9月1日〜2026年2月28日)の売上高は407.563百万円、営業利益は8.569百万円、経常利益は8.012百万円、中間純利益は5.230百万円である。決算短信本文は前年同期比をそれぞれ12.0%増、20.5%増、25.4%増、24.7%増と記載している。一方、業績表の前年同期欄は全項目が「―」で、比較額は開示されていない。
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4.08億円 | - | +12.0%(本文) | 8.39億円/8.23億円 | 48.6%/49.5% |
| 営業利益 | 0.09億円 | - | +20.5%(本文) | 0.29億円/0.24億円 | 29.5%/35.6% |
| 経常利益 | 0.08億円 | - | +25.4%(本文) | 0.30億円/0.24億円 | 26.7%/32.8% |
| 純利益 | 0.05億円 | - | +24.7%(本文) | 0.29億円/0.15億円 | 18.0%/35.6% |
| EPS | 3.27円 | - | 算出不可 | 18.58円/9.17円 | - |
会社計画と進捗率は、左側を添付の中間決算短信、右側を同日付の「上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」に基づく。両資料は同じPDFに収録されているが、通期予想が一致しないため、単一の計画値として達成度を評価していない。EPS3.27円は株式分割後の表示である。
セグメント
同社はAI×クラウドサービス事業の単一セグメントであり、2026年8月期中間決算短信では報告セグメント別の売上高・営業利益を開示していない。サービス別営業利益の配分もないため、全社営業利益8.569百万円をSaaS、SUBLINE、WEBの各サービスに割り当てることはできない。
通期予想の前提説明では、売上高を「SaaSサービス」「SUBLINEサービス」「WEBサービス」に分けて算定している。これは予想作成上のサービス区分であり、中間期の実績売上をサービス別に示す表ではない。今回のサービス構成は、次回以降に実績値が開示されるかを見極める段階である。
財務安全性
中間期末の総資産は3.27億円、純資産は0.07億円、自己資本比率は1.95%で、財務基盤は薄い。流動資産2.66億円に対して流動負債は2.09億円で、流動比率は127.4%となる。有利子負債は短期・長期合計1.48億円で、総資産の45.2%に相当する。営業CFはマイナス0.05億円、投資CFは0.08億円、財務CFは0.18億円であり、現金増加2,054.9万円には長期借入れ7,000万円と長期預け金回収8,000万円が含まれる。利益の増加だけでなく、営業活動で現金を生む段階に移れるかが財務面の焦点である。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | 3.27円 | 前年同期の比較額は業績表で非開示 | 短期の成長率は算出不可 |
| ROIC | 開示なし | 投下資本・税後営業利益の詳細不足 | 簡易推計は財務基盤が薄く安定性に乏しい |
| PER推移 | 算出保留 | 株価の確定値・過去レンジなし | 305円の板中心値段を使うと予想EPS別に幅が出る |
JPXが2026年8月27日に公表した初値決定前の板中心値段は305円である。これを参考値として添付短信の予想EPS18.58円に当てると約16.4倍、冒頭資料の予想EPS9.17円では約33.3倍となる。いずれも通常の現在PERや過去3年レンジではなく、資料内の予想差を示す参考計算である。数字から見た結論は、利益成長率よりも予想値の信頼性と薄い資本の補強を先に問う局面である。
ポジティブ要因
SaaS・AI需要を背景にした増収
会社は企業のDX投資やクラウド・AI需要を背景に、既存顧客の継続利用と新規顧客の獲得を進めている。中間期売上高は4.08億円で、短信本文では前年同期比12.0%増である。
本業利益の増加
営業利益は8.569百万円で、短信本文の前年同期比は20.5%増である。営業外収益や特別利益ではなく、営業段階で黒字を確保した点は収益構造を読む材料になる。
現金残高の増加
現金及び預金は前期末の1.61億円から1.82億円へ増加した。営業CFはマイナスだが、投資CFと財務CFを含む資金繰り全体では中間期末の現金残高を確保している。
リスク要因
自己資本の薄さ
純資産は0.07億円、自己資本比率は1.95%にとどまる。中間純利益5.230百万円で純資産は増えたものの、わずかな損失や追加投資でも比率が大きく動きやすい。
営業CFの赤字
営業CFはマイナス5.235百万円で、売上債権の増加1,498.9万円などが響いた。現金増加の主因が借入れや預け金回収であるため、利益が営業キャッシュに変わるかはまだ確認できない。
通期予想の不一致
同じ開示資料の冒頭表と添付短信で、売上高・営業利益・純利益などの通期予想が異なる。数値の訂正や再説明がないままでは、進捗率や予想PERの前提を一つに定めにくい。
業界動向との関連
国内SaaS市場は企業のDX、省力化、AI活用を背景に拡大局面にあると会社は説明している。ただし、需要の追い風だけでは利益の厚みは決まらない。インターパークは人材投資と営業体制強化を進めており、売上成長が人件費・外注費を上回って営業利益と営業CFに残るかが、業界成長と個社の稼ぐ力を分ける。
株価への示唆
株価の評価は、305円の板中心値段を参考にしても、予想EPSの違いから約16.4倍〜約33.3倍まで振れる。これは市場価格の確定値や過去レンジを示すものではない。添付短信の予想EPS18.58円と冒頭資料の9.17円のどちらを会社の正式な計画として扱うかが定まらない限り、PERを軸にした評価は不安定である。計画値が整理され、営業利益の進捗と営業CFの改善が同時に確認できる場合は評価の前提が整う。逆に、低い自己資本比率と借入依存が続けば、業績の小さな下振れでも株価の変動が大きくなる可能性がある。
今期の総括
2026年8月期中間期は、売上高4.08億円、営業利益0.09億円、純利益0.05億円で、短信本文ベースでは増収増益となった。一方、営業CFは赤字で、自己資本比率も1.95%にとどまる。業績の方向は改善しているが、利益の現金化と通期予想の整合性が伴わなければ、決算の評価は割り引かれやすい。
来期見通し
会社は2026年8月期について、添付短信で売上高8.39億円、営業利益0.29億円、経常利益0.30億円、純利益0.29億円、EPS18.58円を示した。冒頭の上場関連資料では、売上高8.235億円、営業利益0.241億円、経常利益0.245億円、純利益0.147億円、EPS9.17円である。前者では営業利益が中間期の29.5%進捗、後者では35.6%進捗となる。まず会社による正式な予想値の再確認が必要であり、達成蓋然性を一方に寄せて評価できる状態ではない。
総合判断
総合判断は弱気である。売上と営業利益は短信本文で前年同期比プラスだが、自己資本比率1.95%、営業CFマイナス523.5万円、借入金1.48億円が重い。加えて、同一資料内の通期予想不一致が評価の土台を不安定にしている。次回は予想値の訂正・再説明、営業CFの黒字化、サービス別実績の開示を確認したい。
出典
- 株式会社インターパーク「2026年8月期中間決算短信〔日本基準〕(非連結)」、2026年8月28日開示
- 株式会社インターパーク「東京証券取引所 TOKYO PRO Market 及び 札幌証券取引所 Sapporo PRO Frontier Market 上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」、2026年8月28日開示
- 株式会社インターパーク IR情報
- 日本取引所グループ「新規上場日の初値決定前の気配運用について:(株)インターパーク」、2026年8月27日