決算サマリー
2025年11月期は、売上高34,941,218千円、営業利益1,892,459千円、経常利益1,758,362千円、当期純利益1,280,798千円となった。売上高は自社ブランドマンション14棟336戸の供給に加え、新築・中古物件の販売や賃貸・建物管理戸数の増加が寄与した。
| 項目 | 2025年11月期 | 2024年11月期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 349.41億円 | 283.05億円 | +23.4% |
| 売上総利益 | 61.83億円 | 50.23億円 | +23.1% |
| 営業利益 | 18.92億円 | 12.48億円 | +51.6% |
| 経常利益 | 17.58億円 | 11.19億円 | +57.2% |
| 当期純利益 | 12.81億円 | 7.82億円 | +63.8% |
| EPS | 158.12円 | 96.53円 | +63.8% |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △17.12億円 | 7.60億円 | - |
| 自己資本比率 | 34.5% | 37.5% | △3.0pt |
営業利益率は5.4%で、前期の4.4%から上昇した。売上総利益率は17.7%と前期の17.7%から大きく変わらないが、増収により営業利益が伸びている。
セグメント
報告セグメントは不動産事業の単一セグメントである。サービス別では、不動産コンサルティングサービスと不動産管理サービスの売上高が開示されている。サービス別営業利益は開示されていないため、全社営業利益を各サービスへ配賦していない。
| サービス区分 | 2025年11月期 | 2024年11月期 | 前期比 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 不動産コンサルティングサービス | 311.87億円 | 249.51億円 | +25.0% | 89.2% |
| 不動産管理サービス | 37.55億円 | 33.54億円 | +11.9% | 10.8% |
| 全社合計 | 349.41億円 | 283.05億円 | +23.4% | 100.0% |
主力のコンサルティングサービスが増収の中心で、管理サービスも安定して増えた。2025年11月期は不動産コンサルティングサービスの売上高が全体の約9割を占めるため、物件の仕入れ・販売サイクルが全社業績に強く影響する。
2021年11月期からの業績推移
| 決算期 | 開示範囲 | 売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 純損益 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年11月期 | 単体・主要指標 | 170.59億円 | 非開示 | 1.65億円 | 1.20億円 | 30.3% |
| 2022年11月期 | 単体・主要指標 | 207.93億円 | 非開示 | 4.05億円 | 2.80億円 | 34.5% |
| 2023年11月期 | 単体・主要指標 | 213.77億円 | 非開示 | 4.25億円 | 2.87億円 | 32.9% |
| 2024年11月期 | 単体・監査済み | 283.05億円 | 12.48億円 | 11.19億円 | 7.82億円 | 37.5% |
| 2025年11月期 | 単体・監査済み | 349.41億円 | 18.92億円 | 17.58億円 | 12.81億円 | 34.5% |
2021年11月期から2025年11月期までの売上高は約2.0倍になった。2024年11月期以降は金融商品取引法に準じた監査を受けているが、2021〜2023年の主要指標は監査を受けていない数値である。2021〜2023年は営業利益が主要指標表にないため、経常利益から補完していない。
財務安全性
2025年11月期末の総資産は140.85億円、純資産は48.56億円、自己資本比率は34.5%だった。現金及び現金同等物は29.76億円だが、営業活動によるキャッシュ・フローは17.12億円のマイナスとなった。開発用地や販売用不動産の取得に資金が先行し、短期借入金や長期借入金も増えている。
不動産会社では在庫の販売で資金を回収するまで、利益とキャッシュの動きがずれることがある。2026年5月末の中間期には販売に伴い販売用不動産が減少し、現金が増えているため、下期以降の在庫回転と借入返済を合わせて確認したい。
定量評価
| 指標 | 2025年11月期 | 見方 |
|---|---|---|
| 売上高成長率 | +23.4% | コンサルティングサービスが増収をけん引 |
| 売上総利益率 | 17.7% | 前期からおおむね横ばい |
| 営業利益率 | 5.4% | 前期の4.4%から改善 |
| 純利益率 | 3.7% | 当期純利益12.81億円を売上高で除した値 |
| 自己資本比率 | 34.5% | 前期の37.5%から低下 |
| 営業CFマージン | △4.9% | 営業CF17.12億円のマイナスを売上高で除した値 |
増収増益の一方、営業CFはマイナスで、自己資本比率も低下した。損益だけを見ると成長局面だが、開発用地の取得資金をどのように回収し、借入を管理するかが不動産会社としての評価を左右する。
ポジティブ要因
自社ブランド物件の供給拡大
2025年11月期は自社ブランド「VERXEED」「VERXEED STAIR」を14棟336戸供給した。新築物件や中古物件の販売も組み合わせ、主力の不動産コンサルティングサービスを伸ばしている。
管理収入の積み上がり
不動産管理サービスは37.55億円で、前期比11.9%増となった。販売時の収益だけでなく、賃貸管理・建物管理の拡大が売上の下支えになっている。
利益率の改善
営業利益は12.48億円から18.92億円へ増え、営業利益率も4.4%から5.4%へ上昇した。物件販売の増加を利益へつなげた点は評価材料になる。
リスク要因
在庫取得による資金流出
2025年11月期の営業CFは17.12億円のマイナスだった。販売用不動産と仕掛販売用不動産の取得が増えたためで、販売が遅れれば現金化と借入返済のタイミングが後ろにずれる。
不動産市況・金利・建築費
投資用マンションの需要が堅調でも、金利上昇、建築費、人件費、用地価格が同時に上がれば、仕入れ採算や販売価格に影響する。管理サービスの安定性だけで、開発事業の変動を吸収できるとは限らない。
配当と上場後の価格
2021年11月期から2025年11月期まで配当は実施していない。2026年11月期は1株25円〜32円を想定しているが、業績や経営環境で変動する可能性がある。公開価格と上場後の株価が未確定のため、配当利回りやPERはまだ判断できない。
業界動向との関連
不動産価格と賃料の動き、建築コスト、金融政策は投資用不動産の仕入れ・販売に直結する。ベルテックスは首都圏の投資用マンションを中心に扱うため、物件の供給数と販売単価だけでなく、在庫回転と借入条件を合わせて見たい。
株価への示唆
上場予定日は2026年9月18日で、公開価格が決まる前のためPER、PBR、配当利回りの比較はできない。2025年11月期のEPS158.12円は実績値だが、株価との組み合わせがなければ割安・割高の判断材料にはならない。上場後は、販売用不動産の回転、営業CF、借入金、管理サービスの伸びを利益と並べて確認する局面になる。
今期の総括
2025年11月期は売上高349.41億円、営業利益18.92億円、当期純利益12.81億円となり、売上高は5年間で約2.0倍に拡大した。自社ブランドを含む物件供給と管理収入が増収を支えた一方、営業CFは17.12億円のマイナスだった。利益成長と在庫・借入の資金負担が同居する決算である。
来期見通し
確認したIPO資料には、2026年11月期の売上高・利益に関する具体的な会社予想は掲載されていない。1株配当は25円〜32円を想定しているが、業績や経営環境で変動する可能性がある。来期は物件販売の進捗、販売用不動産の残高、営業CF、借入返済を確認する。
総合判断
総合判断は中立。2025年11月期は23.4%増収、営業利益51.6%増益となり、管理サービスも伸びた。一方、営業CFはマイナスで、自己資本比率は34.5%へ低下している。上場後は利益成長だけでなく、物件在庫を現金化する力と借入負担を確認してから評価したい。
出典
本記事は、日本取引所グループが2026年8月14日に掲載した株式会社ベルテックスの「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」を基に作成しています。2021〜2025年11月期の数値は、同資料の単体財務情報とサービス別売上情報を参照しています。