決算サマリー
2026年6月期は、売上高1,980,664千円、営業利益344,462千円、経常利益337,040千円、当期純利益239,697千円だった。2026年6月期の財務諸表は監査未了であり、監査報告書は受領していないと資料に記載されている。
| 項目 | 2026年6月期 | 2025年6月期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 19.81億円 | 14.61億円 | +35.6% |
| 売上総利益 | 12.99億円 | 9.15億円 | +42.0% |
| 営業利益 | 3.44億円 | 1.27億円 | +170.6% |
| 経常利益 | 3.37億円 | 1.29億円 | +161.8% |
| 当期純利益 | 2.40億円 | 1.00億円 | +139.3% |
| EPS | 106.53円 | 44.52円 | +139.3% |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 2.77億円 | 1.14億円 | - |
| 自己資本比率 | 57.00% | 50.50% | +6.50pt |
営業利益率は17.4%で、前期の8.7%から改善した。売上の伸びに加えて、売上総利益率が65.6%まで上がったことが利益増に寄与している。
セグメント
報告セグメントは医療DX事業の単一セグメントである。資料では、医療DXストック事業、医療DXイニシャル事業、広告事業のサービス別売上高が示されている。サービス別の営業利益は開示されていないため、全社営業利益を各サービスへ配賦していない。
| サービス区分 | 2026年6月期 | 2025年6月期 | 前期比 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 医療DXストック事業 | 10.94億円 | 8.65億円 | +26.5% | 55.2% |
| 医療DXイニシャル事業 | 6.27億円 | 3.57億円 | +75.7% | 31.7% |
| 広告事業 | 2.60億円 | 2.39億円 | +8.6% | 13.1% |
| 全社合計 | 19.81億円 | 14.61億円 | +35.6% | 100.0% |
ストック事業は医療機関数の増加や複数サービス利用による顧客単価の上昇が背景にある。イニシャル事業は導入件数の増加により、伸び率が最も高かった。2026年6月期はイニシャル売上の伸びが全社増収を押し上げたが、翌期以降にストック収入へどの程度移行するかが見どころになる。
2021年6月期からの業績推移
| 決算期 | 開示範囲 | 売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 純損益 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年6月期 | 単体・主要指標 | 6.45億円 | 非開示 | 0.41億円 | 0.18億円 | 47.46% |
| 2022年6月期 | 単体・主要指標 | 7.05億円 | 非開示 | △1.02億円 | △1.02億円 | 14.78% |
| 2023年6月期 | 単体・主要指標 | 9.27億円 | 非開示 | 0.02億円 | 0.03億円 | 47.57% |
| 2024年6月期 | 単体・財務諸表 | 11.62億円 | △0.18億円 | △0.15億円 | △0.03億円 | 49.89% |
| 2025年6月期 | 単体・財務諸表 | 14.61億円 | 1.27億円 | 1.29億円 | 1.00億円 | 50.50% |
| 2026年6月期 | 単体・監査未了 | 19.81億円 | 3.44億円 | 3.37億円 | 2.40億円 | 57.00% |
2021年6月期から2026年6月期までの売上高は約3.1倍になった。2022年6月期は経常損失・純損失に落ち込んだが、2023年6月期に小幅黒字へ戻り、2025年6月期以降は利益が拡大している。2021〜2023年は主要指標表に営業利益の記載がないため、経常利益から補完していない。
なお、1株当たり指標は株式分割を過年度に遡及して反映した数値である。株式分割前の公表資料との単純比較には注意が必要だ。
財務安全性
2026年6月期末の総資産は11.10億円、純資産は6.33億円、自己資本比率は57.00%だった。現金及び現金同等物は6.43億円で、営業活動によるキャッシュ・フローは2.77億円のプラスとなっている。2025年6月期末から現金は2.22億円増え、利益だけでなく営業活動からも資金を生み出した。
ただし、2026年6月期は監査未了の財務諸表である。上場後の監査済み数値で、純資産やキャッシュ・フローに修正がないかを確認したい。
定量評価
| 指標 | 2026年6月期 | 見方 |
|---|---|---|
| 売上高成長率 | +35.6% | ストック・イニシャルの両方が増収をけん引 |
| 売上総利益率 | 65.6% | 前期の62.6%から改善 |
| 営業利益率 | 17.4% | 前期の8.7%から上昇 |
| 純利益率 | 12.1% | 当期純利益2.40億円を売上高で除した値 |
| 営業CFマージン | 14.0% | 営業CF2.77億円を売上高で除した値 |
| 自己資本比率 | 57.0% | 前期の50.5%から上昇 |
利益率と自己資本比率は改善した。もっとも、2026年6月期は上場前の未監査数値であり、将来の会社計画や市場評価を示す予想値ではない。PERやPBRは公開価格と上場後の株価が確定していないため算定していない。
ポジティブ要因
継続収益の拡大
医療DXストック事業は10.94億円で、前期比26.5%増となった。導入医療機関の増加と複数サービス利用が継続収入を押し上げており、初期導入だけに依存しない売上基盤が広がっている。
導入時売上の伸長
医療DXイニシャル事業は6.27億円で、前期比75.7%増だった。新規導入の増加は短期的な売上に寄与するだけでなく、今後のストック事業へ移る顧客母数を増やす材料でもある。
利益とキャッシュの同時改善
営業利益は1.27億円から3.44億円へ増え、営業CFも1.14億円から2.77億円へ拡大した。2026年6月期の増益が会計上だけでなく、資金創出にもつながった点は確認しやすい材料だ。
リスク要因
監査未了の数値
2026年6月期の財務諸表は監査未了で、監査報告書を受領していない。上場準備資料の数値を使っているため、上場後の監査済み開示で修正が生じる可能性を残す。
サービス別の利益が見えない
売上構成は確認できるが、医療DXストック、イニシャル、広告の各サービスに営業利益は配賦されていない。高成長のイニシャル売上が、どの程度の粗利・営業利益を伴うかは資料だけでは判断できない。
上場後の需給と配当方針
2026年9月25日に東証スタンダード市場への上場を予定しているが、公開価格や上場後の株価は未確定である。また、会社設立以来、配当は実施されておらず、今後の配当実施の可能性・時期も未定とされている。成長投資を優先する会社のため、配当収入を前提にした評価はできない。
業界動向との関連
レイヤードは、医療機関向けの予約、WEB問診、患者管理、電話自動応答などを提供している。医療現場の人手不足や業務効率化の需要はサービス導入の背景になり得るが、医療DX市場全体の拡大がそのまま同社の利益成長になるわけではない。導入後の継続率、複数サービス利用、サポート・開発コストの推移を合わせて見る必要がある。
株価への示唆
上場前のため、現時点で市場株価、PER、PBRの推移はない。公開価格が決まる前に、売上高19.81億円や営業利益3.44億円だけから割安・割高を判断することはできない。上場後は、監査済みの2026年6月期実績、2027年6月期の会社計画、ストック売上の伸び、サービス別の採算開示を並べて評価する局面になる。
今期の総括
2026年6月期は、売上高19.81億円、営業利益3.44億円、当期純利益2.40億円となり、2021年6月期から売上規模を約3.1倍へ拡大した。医療DXストック事業の継続収入に加え、イニシャル事業の導入増が伸びを押し上げ、利益と営業CFも改善している。次の焦点は、未監査数値の確定と、イニシャル売上がストック収入へ積み上がるかだ。
来期見通し
確認したIPO資料には、2027年6月期の売上高・利益の具体的な会社予想は掲載されていない。そのため、来期の数値目標は置かず、医療DXストック事業の増加率、イニシャル事業の反動、広告事業の伸び、監査済み決算の開示を確認項目とする。
総合判断
総合判断は中立。2026年6月期は増収率35.6%、営業利益率17.4%、自己資本比率57.0%と数字が改善し、営業CFもプラスだった。対して、通期数値が監査未了でサービス別利益が開示されておらず、公開価格も未定である。上場後の監査済み実績と価格を確認してから、成長率に見合う評価かを判断する段階だ。
出典
本記事は、日本取引所グループが2026年8月24日に掲載した株式会社レイヤードの「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」を基に作成しています。2021〜2026年6月期の数値は、同資料の単体財務情報およびサービス別売上情報を参照しています。