決算サマリー
| 指標 | 2025年12月期 | 2024年12月期 | 前年同期比・差額 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,358.635百万円 | 1,398.588百万円 | 2.9%減 |
| 営業利益 | 32.408百万円 | 3.474百万円 | 28.934百万円増、黒字幅拡大 |
| 経常利益 | 25.898百万円 | ▲2.340百万円 | 黒字化 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 116.846百万円 | ▲94.670百万円 | 黒字化 |
| EPS | 139.10円 | ▲112.70円 | 黒字化 |
売上高は減少したが、売上原価が3.81億円から2.48億円へ減り、売上総利益は10.18億円から11.11億円へ増加した。販売費及び一般管理費は10.14億円から10.78億円へ増えており、利益改善の中身は単純な増収効果ではない。
セグメント
報告セグメントは「マーケティング支援事業」の単一セグメントである。収益認識関係では、主要サービスの売上高が分解開示されている。サービス別の営業利益は開示されていないため、利益をサービスへ配分した評価は行わない。
| サービス・区分 | 2025年12月期 | 2024年12月期 | 前年同期比 | 営業利益 |
|---|---|---|---|---|
| 広告運用支援 | 992.229百万円 | 909.219百万円 | 9.1%増 | 非開示 |
| インサイドセールス | 366.406百万円 | 280.511百万円 | 30.6%増 | 非開示 |
| 広告クリエイティブ制作 | - | 208.857百万円 | - | 非開示 |
| 外部顧客への売上高 | 1,358.635百万円 | 1,398.588百万円 | 2.9%減 | 32.408百万円 |
広告運用支援とインサイドセールスの売上高は合計1,358.635百万円で、2025年12月期の外部顧客への売上高と一致する。広告クリエイティブ制作は当期の収益分解表で「-」と記載されている。全社営業利益32.408百万円はサービス別に配分した数値ではない。
広告運用では運用型広告の戦略・アカウント設計・改善、マーケティングテクノロジーではGA4やSalesforceなどの導入・運用、インサイドセールスではBtoB企業の営業プロセス支援を手がける。子会社のセールスリクエスト、2026年1月に子会社化したMarooを含むグループで支援範囲を広げている。
定量評価
| 評価項目 | 判定 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 売上成長 | 弱含み | 1,398.588百万円から1,358.635百万円へ2.9%減少 |
| 営業利益 | 改善 | 3.474百万円から32.408百万円へ黒字幅を拡大 |
| EPS | 改善 | ▲112.70円から139.10円へ黒字化 |
| ROE | 比較困難 | 2025年12月期は261.1%だが、前期の債務超過に近い自己資本を分母とするため単純比較しにくい |
| PER | 算出不可 | 2026年9月29日上場予定で、基準となる公開価格・株価がない |
ポジティブ要因
- 売上高が減るなかでも売上総利益は前年同期比9.1%増となり、粗利率は改善した。
- 営業利益は黒字化し、経常利益も赤字から黒字へ転じた。
- 広告運用からデータ基盤、商談化までを支援するサービス構成があり、発行者情報では平均プロジェクト継続期間を3.2年と説明している。
- 2025年12月末の現金及び現金同等物は13.55億円で、前年末の12.93億円から増加した。
リスク要因
- 売上高は前年割れで、営業利益の改善が今後も続くかはまだ確認できない。
- 営業キャッシュフローは▲24.607百万円で、利益がそのまま現金収入になっていない。
- 関係会社株式売却益1.117億円が税引前利益を押し上げており、最終黒字の一部は一時的な要因である。
- 2025年12月末の自己資本比率は4.4%、純資産は1.034億円で、財務余力は厚くない。
- 2025年12月期の売上高に占める主要顧客の比率は、オフィスコム12.2%、キーエンス10.3%と開示されており、顧客集中の影響を受ける可能性がある。
財務安全性
総資産は23.62億円、負債合計は22.58億円、純資産は1.03億円である。流動負債11.83億円に対して流動資産は20.68億円あるため、短期資産の厚みはある。ただし、自己資本比率4.4%と低く、営業CFもマイナスだった。今回の黒字化だけで財務体質が強くなったと判断するのは早い。
業界動向との関連
発行者情報では、企業のデジタルマーケティング活用が広がり、広告運用だけでなくデータ解析ツールの導入やリードの商談化まで一貫した支援が求められていると説明している。オーリーズはこの流れに対し、3サービスを組み合わせて対応する構成である。ただし、サービス別の成長率や利益率は開示されていないため、どの領域が利益成長を担っているかは次回以降の開示課題となる。
株価への示唆
オーリーズはTOKYO PRO Marketへの上場予定で、一般市場のIPOのような公開価格・公募・売出し・初値を前提にした評価はできない。上場予定日は2026年9月29日だが、現時点では株価やPERは算出不可である。
投資家が確認する順番は、営業黒字の継続、営業CFのプラス転換、自己資本比率の改善、顧客集中の変化である。売上高が伸びないまま一時利益だけが先行する場合、今回の最終黒字をそのまま実力値とみなすのは危険がある。
今期の総括
2025年12月期は、減収ながら粗利改善とコスト構造の変化で営業黒字化を達成した。最終損益は大幅な黒字となったが、関係会社株式売却益の寄与があり、キャッシュフローはまだ弱い。数字は改善したが、黒字の質はこれから見極める段階である。
来期見通し
この発行者情報では、2026年12月期の売上高・営業利益・経常利益・純利益の数値計画は確認できない。そのため、会社計画に対する進捗率や上振れ・下振れは算出しない。次回の業績開示では、2025年12月期の営業黒字が継続しているか、営業CFが改善しているかを優先して確認する。
総合判断
総合判断は中立である。営業利益の黒字化と粗利改善は前向きだが、減収、営業CFの赤字、自己資本比率4.4%、関係会社株式売却益による最終利益の押し上げが残る。上場後は株価水準の評価より先に、継続的な営業利益とキャッシュ創出を確認したい。
出典
- 株式会社オーリーズ「発行者情報」2026年8月25日公表
- 株式会社オーリーズ「コーポレート・ガバナンス報告書」2026年8月25日
- オーリーズ公式サイト
- 日本取引所グループ「TOKYO PRO Market 新規上場会社情報」