決算サマリー
中間期の売上高は1,320億9百万円、営業利益は35億64百万円、経常利益は41億34百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は26億21百万円でした。2025年12月期中間期は中間連結財務諸表を作成していないため、前年同期比は会社資料に記載がありません。前年通期との比較を中間期の前年比として扱うこともできません。
| 項目 | 2026年12月期中間期 | 2025年12月期 | 2026年12月期予想 | 通期予想進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,320億9百万円 | 3,039億26百万円(通期実績) | 3,234億円 | 40.8% |
| 営業利益 | 35億64百万円 | 42億11百万円(通期実績) | 30億円 | 118.8% |
| 経常利益 | 41億34百万円 | 55億89百万円(通期実績) | 42億円 | 98.4% |
| 親会社株主に帰属する利益 | 26億21百万円 | 30億96百万円(通期実績) | 17億円 | 154.2% |
| EPS | 11.18円 | 13.21円(通期実績) | 7.25円 | 154.2% |
進捗率は中間実績を通期予想で割った単純比です。上期には72億円のプラス在庫評価影響があり、会社は7月以降に82億円のマイナス影響を見込むため、営業利益の進捗だけから通期達成を判断できません。中間期の営業利益率は2.7%、通期予想は約0.9%です。
セグメント
報告セグメントは石油化学事業の単一セグメントです。決算短信は事業分野別売上高を開示していますが、事業分野ごとの利益は示していません。中間期の4区分は合計1,320億9百万円となり、連結売上高と一致します。
| 事業分野 | 売上高 | 構成比 | 開示された動き |
|---|---|---|---|
| オレフィン | 620億51百万円 | 47.0% | ナフサ高で販売単価は上昇。大型定修と中東情勢を受けたナフサ仕入減少後の稼働抑制で販売数量が減少。 |
| 有機化学品 | 241億54百万円 | 18.3% | 定修で数量は減少した一方、原料高を受けて販売単価が上昇。 |
| 合成樹脂 | 380億20百万円 | 28.8% | 国産ナフサ価格の上昇に伴い販売価格が上昇。 |
| その他 | 77億84百万円 | 5.9% | ユーティリティーなど。会社は通期で大分コンビナート構成企業の稼働計画を踏まえた販売を見込む。 |
構成比は各事業の売上高を連結売上高で除して小数第1位に丸めました。2026年2~4月には4年に1度のエチレンプラント大型定修があり、下期の設備稼働と販売数量が売上の鍵です。会社の通期売上予想ではオレフィン1,670億円(前期比0.5%減)、有機化学品520億円(同8.8%増)、合成樹脂870億円(同22.5%増)、その他174億円(同1.2%増)を見込みます。事業別利益は非開示で、売上構成だけでは採算差を判断できません。
財務安全性
6月末の総資産は2,171億23百万円、純資産は767億7百万円、自己資本比率は31.9%でした。2025年12月末から総資産は259億58百万円、負債は239億円増えています。会社は棚卸資産の増加と仕入債務・有利子負債の増加を主因に挙げています。
営業キャッシュフローはマイナス179億38百万円、投資キャッシュフローはマイナス46億22百万円、財務キャッシュフローはプラス146億83百万円でした。現金同等物は期首173億36百万円から期末94億59百万円へ減少しました。営業CFでは棚卸資産の増加が169億19百万円、売上債権の増加が59億89百万円の資金流出要因となり、仕入債務の増加93億40百万円が一部を補っています。上期は利益が出ても運転資金を吸収しており、通期では利益回復と資金回収の両方を確認する必要があります。
定量評価
上期の営業外収益には持分法投資利益6億82百万円が含まれ、特別損失には大型定修に伴う固定資産除却損9億44百万円が計上されました。親会社株主に帰属する利益26億21百万円は、中間純利益25億31百万円に非支配株主に帰属する中間純損失9千万円を反映した額です。営業利益だけを見る場合も、持分法投資損益と定修関連損失を分けて捉える必要があります。
2026年12月期予想は売上高3,234億円(前期比6.4%増)に対し、営業利益30億円(同28.8%減)、経常利益42億円(同24.9%減)、親会社株主に帰属する利益17億円(同45.1%減)です。売上増加に対して利益減少を見込む計画であり、通期営業利益率は約0.9%に低下します。
ポジティブ要因
原料価格と連動する販売価格の設定により、会社はナフサなどのコスト上昇を製品価格へ転嫁していると説明しています。グループはナフサ調達先の多様化を進め、必要な原料を確保したとしています。大型定修は4月に終了しましたが、会社は定修の影響で通期販売数量が例年より少なくなる見込みです。定修後の稼働と数量が計画に沿うかは、下期に確かめたい点です。
株主還元方針はDOE5%を目標とする安定配当と、業績・キャッシュフロー・財務状況に応じた還元水準の継続的な向上です。2026年12月期の年間配当予想は12円で、2025年12月期実績の無配から再開する計画ですが、上期の営業CFは大幅なマイナスでした。配当方針と資金創出の実績を併せて見る局面です。
リスク要因
利益の質には在庫評価の振れが影響しています。上期にはナフサ価格の急上昇などを背景に72億円のプラス影響がありましたが、会社は7月以降のナフサ価格下落を前提に82億円のマイナス影響を予想しています。通期営業利益予想30億円に対して影響額が大きく、在庫評価の前提がずれた場合は利益計画にも波及します。
国内需要の弱さ、中国を中心とした石油化学プラントの新増設による供給過剰、海外市況の低迷が会社のリスク認識です。上期には大型定修と中東情勢による調達減少が重なり、修理後に稼働率を抑えた時期もありました。定修明けの販売数量が戻っても、供給過剰下で価格転嫁や輸出採算を維持できるかは別の確認点です。
業界動向との関連
会社資料は、国内石油化学製品の需要低迷と、中国を中心とした設備増強による供給過剰で国内エチレン設備の稼働が低調と説明しています。さらに中東情勢が原油・ナフサの調達や価格を揺らしています。クラサスケミカルでは製品価格への転嫁を進める一方、通期の営業利益は減益計画です。販売価格への転嫁が数量や輸出採算の弱さをどこまで埋めるかが焦点になります。
株価への示唆
同社株は2026年9月29日に東証スタンダード市場へ上場しました。中間実績だけなら通期営業利益予想を上回る進捗ですが、会社自身が下期に在庫評価のマイナスを見込んでおり、上期利益の単純な年率換算は適切ではありません。上場初期の株価評価を考える際も、定修後の設備稼働と販売数量、在庫評価影響の実績、営業CFの反転を確かめる必要があります。
今期の総括
2026年上期は大型定修が操業を押し下げた一方、ナフサ価格上昇に伴うプラスの在庫評価影響が売上総利益を支えました。営業利益35億64百万円に対し営業CFはマイナス179億38百万円で、運転資金の増加が資金を吸収しています。利益額だけでは上期の収益力を測りにくく、在庫評価と資金繰りを同時に追う必要があります。
来期見通し
2026年12月期の会社予想は売上高3,234億円、営業利益30億円、経常利益42億円、親会社株主に帰属する利益17億円、EPS7.25円です。想定為替レートは156.5円/米ドル、想定国産ナフサ価格は89,150円/KLで、7月以降の想定はそれぞれ155円/米ドル、86,000円/KLです。原料・為替前提、定修後の販売数量、下期のマイナス在庫評価影響が計画の主要条件です。
総合判断
総合判断は中立です。定修を終え、調達先多様化と価格転嫁を進める一方、通期は増収減益の計画で、上期の利益には一時的な在庫評価益が含まれます。営業CFも大きくマイナスでした。下期の在庫評価影響が会社想定に近づくか、営業キャッシュフローが回復するかを確認するまでは、上期の利益進捗をそのまま通期の強さとは評価しにくい状況です。
出典
- クラサスケミカル株式会社「東京証券取引所スタンダード市場への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」および添付「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」、2026年9月29日。資料は同社IRおよび東京証券取引所の新規上場会社情報で公開。