決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前期 | 増減率 | 次期会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 217.25億円 | 188.50億円 | +15.3% | 非開示 | 該当なし |
| 純営業収益 | 216.74億円 | 187.95億円 | +15.3% | 非開示 | 該当なし |
| 営業利益 | 53.75億円 | 35.59億円 | +51.0% | 非開示 | 該当なし |
| 経常利益 | 59.23億円 | 41.13億円 | +44.0% | 非開示 | 該当なし |
| 当期純利益 | 50.10億円 | 45.20億円 | +10.8% | 非開示 | 該当なし |
| EPS | 75.66円 | 68.40円 | +10.6% | 非開示 | 該当なし |
営業収益の伸びに対して販管費の増加は7.0%に抑えられ、営業利益率は前期の18.9%から24.7%へ5.8ポイント改善した。
セグメント
丸三証券は「投資・金融サービス業」の単一セグメントである。商品別利益は開示していないため、受入手数料213.50億円の内訳で収益構成を確認する。
| 商品区分 | 当期 | 前期 | 増減率 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 株式 | 72.98億円 | 53.53億円 | +36.3% | 34.2% |
| 債券 | 0.93億円 | 1.03億円 | -8.8% | 0.4% |
| 受益証券 | 138.48億円 | 130.45億円 | +6.2% | 64.9% |
| その他 | 1.09億円 | 0.87億円 | +25.2% | 0.5% |
表示額の合計は213.48億円で、受入手数料合計との差0.02億円は百万円未満切り捨てによる。株式では委託手数料が36.6%増えた。受益証券では募集手数料が1.0%減だった一方、信託報酬は10.6%増の84.25億円と過去最高を更新し、ストック収益が全体を支えた。
財務安全性
総資産は前期末比168.79億円増の884.76億円、純資産は37.21億円増の514.44億円となった。自己資本比率は66.4%から58.0%へ低下したが、自己資本規制比率は576.9%で高い余力を保つ。営業キャッシュ・フローは92.93億円の流入、投資CFは5.49億円の流出、財務CFは48.91億円の流出で、現金同等物は355.88億円へ増加した。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +10.6% | 前期比 | 本業利益ほどは伸びていない |
| ROE | 10.1% | 前期9.2% | 0.9ポイント改善 |
| 営業利益率 | 24.7% | 前期18.9% | 手数料増と費用抑制で上昇 |
| ROIC | 開示なし | 投下資本の区分不足 | 証券会社のため自己資本規制比率を併用 |
| PER推移 | 算定保留 | 業績予想非開示 | 次期EPSの前提を置けない |
営業利益は51.0%増えたが、純利益の伸びは10.8%にとどまった。前期に投資有価証券売却益12.97億円と関係会社特別配当金6.04億円を計上しており、一時利益の剥落が最終利益の伸びを抑えた。
ポジティブ要因
株式委託手数料の拡大
株式受入手数料は72.98億円と36.3%増加した。日本株の売買活況に加え、中期経営計画で掲げた推奨日本株の純増額は24カ月累計523億円、達成率130.8%となった。
信託報酬の積み上がり
株式投資信託残高は1兆2,104億円へ19.6%増え、信託報酬は84.25億円へ10.6%増加した。信託報酬による販管費カバー率は51.7%で、売買手数料に依存しない収益構造への移行が進んだ。
営業レバレッジ
純営業収益は15.3%増えた一方、販管費は7.0%増にとどまった。人件費は5.7%増、事務費は9.4%増だったが、増収効果が費用増を上回り、営業利益は18.16億円増加した。
リスク要因
株式市場への感応度
営業収益のうち株式委託手数料が占める割合は33.5%である。日本株の売買代金が減少すると、委託手数料が反動減し、営業利益率が低下しやすい。
投資信託販売の変動
株式投資信託の募集取扱高は3.6%増えたが、募集手数料は1.0%減少した。商品構成や販売環境によってフロー収益が伸びない場合、信託報酬の増加だけでは費用増を吸収しにくくなる。
一時利益を含む最終利益
当期も抱合せ株式消滅差益5.33億円と投資有価証券償還益4.94億円を計上した。純利益50.10億円には本業以外の利益が含まれ、翌期の再現性は限定される。
業界動向との関連
対面証券は株式市場の売買活況が追い風になる一方、収益の振幅が大きい。丸三証券は投資信託残高の積み上げとファンドラップを通じ、残高連動報酬を増やしている。2026年3月期は市況恩恵だけでなく、信託報酬の増加も利益改善に寄与した点が重要である。
株価への示唆
会社は市場環境の変動が大きいとして2027年3月期の業績予想を開示しておらず、予想EPSを使った理論株価は算定しない。営業利益率とROEの改善は評価材料になり得るが、株式市場の活況が織り込まれている場合は、手数料収入の高成長が鈍るだけでも見方が変わりやすい。投資信託残高と信託報酬の増加が続き、利益の市況依存度が下がるかが中期的な評価軸となる。
今期の総括
2026年3月期は、営業収益217.25億円、営業利益53.75億円と増収増益で着地した。株式委託手数料の増加が主因だが、信託報酬の伸びも収益を支えた。営業利益率とROEは改善した一方、最終利益には特別利益が含まれ、純利益の質は営業利益と分けて見る必要がある。
来期見通し
2027年3月期の業績数値は非開示である。配当は普通配当を未定とし、2026年7月30日の開示では中間・期末に各15円の特別配当を予定している。株式売買高、投資信託残高、信託報酬による販管費カバー率、ファンドラップの資産導入が業績を左右する。
総合判断
総合判断は中立である。営業利益51.0%増、ROE10.1%、自己資本規制比率576.9%は良好だが、市況依存度と業績予想非開示を考慮すると通期の再現性は見通しにくい。信託報酬の伸びが費用増を継続的に吸収できるかを確認したい。
出典
- 丸三証券「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」、2026年4月28日
- 丸三証券「2026年3月期 決算説明資料」、2026年4月28日
- 丸三証券「第106期 有価証券報告書」、2026年6月16日