決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 62.51億円 | 43.66億円 | +43.2% | 非開示 | 該当なし |
| 純営業収益 | 62.43億円 | 43.56億円 | +43.3% | 非開示 | 該当なし |
| 営業利益 | 17.48億円 | 3.95億円 | +342.6% | 非開示 | 該当なし |
| 経常利益 | 20.67億円 | 6.71億円 | +208.1% | 非開示 | 該当なし |
| 四半期純利益 | 14.13億円 | 13.84億円 | +2.1% | 非開示 | 該当なし |
| EPS | 21.31円 | 20.92円 | +1.9% | 非開示 | 該当なし |
受入手数料が42.8%増えた一方、販管費の増加は13.5%にとどまり、営業利益率は前年同期の9.0%から28.0%へ上昇した。
セグメント
丸三証券は「投資・金融サービス業」の単一セグメントであり、商品別利益は開示していない。以下は受入手数料6,155百万円の内訳で、営業収益6,251百万円とは範囲が異なる。
| 商品区分 | 当期 | 前年同期 | 増減率 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 株式 | 2,092百万円 | 1,320百万円 | +58.4% | 34.0% |
| 債券 | 28百万円 | 22百万円 | +27.7% | 0.5% |
| 受益証券 | 4,003百万円 | 2,943百万円 | +36.0% | 65.0% |
| その他 | 31百万円 | 25百万円 | +21.2% | 0.5% |
商品別内訳の表示額合計は6,154百万円で、受入手数料合計との差1百万円は各項目の百万円未満切り捨てによる。株式受入手数料は活況な株式市場を背景に伸び、投資信託では募集手数料が42.0%増、信託報酬が31.6%増となった。投資信託残高は1兆3,914億円へ28.8%増え、残高連動収益の拡大も確認できる。
財務安全性
総資産は前期末比143.84億円増の1,028.60億円、純資産は19.16億円増の533.61億円となった。自己資本比率は58.0%から51.7%へ低下したが、証券会社の財務健全性を見る自己資本規制比率は566.0%で、法定水準を大きく上回る。営業キャッシュ・フローは四半期短信で開示されていないため、資金創出力は通期資料での再確認が必要である。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +1.9% | 前年同期比 | 特別利益の反動で本業利益ほど伸びていない |
| 営業利益率 | 28.0% | 前年同期9.0% | 手数料増に対して費用増が抑えられた |
| ROIC | 開示なし | 投下資本の区分不足 | 証券会社のため自己資本規制比率を優先確認 |
| PER推移 | 算定保留 | 業績予想非開示 | 通期EPSの前提を置けず比較不能 |
数字の芯は営業利益の大幅増である。ただしEPSの伸びが小さいのは、前年同期に抱合せ株式消滅差益5.33億円と投資有価証券償還益4.94億円を計上していたためで、利益段階を分けて読む必要がある。
ポジティブ要因
株式手数料の伸長
株式受入手数料は前年同期比58.4%増の20.92億円となった。株式委託手数料の増加が主因で、日本株残高純増の中期計画も27カ月累計564億円、達成率125.4%まで進んだ。
投資信託の残高連動収益
株式投資信託の募集取扱高は65.0%増の650億円、信託報酬は31.6%増の24.19億円である。信託報酬による販管費カバー率は53.8%となり、売買手数料以外の収益基盤が厚くなった。
費用増を上回る増収
販管費は人件費17.1%増、不動産関係費27.6%増などで13.5%増えたが、純営業収益の43.3%増を大きく下回った。営業利益の増加は一時利益ではなく、本業の収益拡大による。
リスク要因
市況依存度の高さ
営業収益の大半は株式・債券市場を源泉とする。株式市場の売買代金や投資信託販売が鈍れば、今回伸びた委託手数料と募集手数料は反動減しやすい。
通期予想がない
会社は市場変動の影響が大きいとして業績予想を開示していない。第1四半期の高い利益率をそのまま通期へ延長する根拠はなく、四半期ごとの速報値で確認する必要がある。
純利益の伸びは限定的
営業利益は4.4倍になったが、四半期純利益は2.1%増にとどまった。前年同期の特別利益が大きかったためであり、表面上の純利益成長だけでは本業改善の強さを捉えにくい。
業界動向との関連
対面証券では、株式売買の活況が委託手数料を押し上げる一方、市況悪化時の収益変動が大きい。丸三証券は投資信託残高と信託報酬を積み上げ、収益の安定化を進めている。今回の決算では、株式手数料の追い風と残高連動収益の双方が増えた点が特徴である。
株価への示唆
業績予想が非開示のため、通期予想EPSを用いた理論株価は算定しない。市場が評価しやすいのは営業利益率の上昇と信託報酬の拡大だが、株式市況の強さが既に期待へ織り込まれている場合、単四半期の増益だけでは評価が続かない可能性もある。投資信託残高の純増と販管費カバー率が伸び、収益の市況感応度が下がることが確認できれば、利益の質に対する見方は改善しやすい。
今期の総括
2027年3月期第1四半期は、営業収益62.51億円、営業利益17.48億円と本業が強く伸びた。株式委託手数料だけでなく、投資信託の募集手数料と信託報酬も増加しており、複数の収益源が寄与した。前年同期の特別利益を考慮すると、純利益2.1%増より営業利益4.4倍の方が実態を表している。
来期見通し
会社は2027年3月期の業績予想を開示していない。配当は2027年3月期から2029年3月期まで各中間・期末に特別配当15円を予定する一方、普通配当は未定で、年間総額も確定していない。今後は株式受入手数料の反動、投資信託残高と信託報酬の伸び、増加した人件費・不動産費を吸収できるかが判断材料となる。
総合判断
総合判断は中立である。営業利益率28.0%と自己資本規制比率566.0%は強いが、業績予想がなく、市況依存の高い収益を通期へ単純に延ばせないためだ。次回は、受入手数料の増加が続くか、信託報酬の販管費カバー率がさらに上がるかを確認したい。
出典
- 丸三証券「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」、2026年7月30日
- 丸三証券「第106期 有価証券報告書」、2026年6月16日