決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 76.07億円 | 46.27億円 | +64.4% |
| 純営業収益 | 75.82億円 | 46.15億円 | +64.3% |
| 営業利益 | 24.82億円 | 3.80億円 | +553.3% |
| 経常利益 | 25.02億円 | 4.01億円 | +523.5% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 16.83億円 | 2.26億円 | +644.5% |
| EPS | 52.34円 | 7.10円 | +637.2% |
証券会社では、一般企業の売上高に近い営業収益・純営業収益と、販管費控除後の営業利益を区別する必要があります。純営業収益に対する営業利益率は32.7%で、前年同期の8.2%から大幅に改善しました。
収益構成
受入手数料は74.55億円(前年同期比68.7%増)でした。内訳では、株券委託手数料が18.82億円(同67.3%増)、投資信託などの募集・売出し等の取扱手数料が4.40億円(同31.6%増)、その他の受入手数料が50.99億円(同74.0%増)です。
その他の受入手数料には、受益証券残高に係る信託報酬16.84億円(同57.6%増)、ファンドラップのフィー等23.55億円(同119.5%増)、いちよしアセットマネジメントの運用に係る信託報酬9.14億円(同36.3%増)が含まれます。トレーディング損益は0.31億円、金融収支は0.33億円でした。
定量評価
| 指標 | 当期 | 前年同期・前期末 | 見方 |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 32.7% | 8.2% | 純営業収益ベースで大幅改善 |
| 安定収益のコストカバー率 | 97.1% | 66.4% | 信託報酬とラップフィーが販管費に接近 |
| 預り資産 | 2兆8,609億円 | 前期末比+8.1% | 2030年3月末目標は5兆円 |
| 自己資本規制比率 | 438.3% | 前期末448.4% | 低下したが高い水準 |
ポジティブ要因
ストック収益の拡大
ファンドラップ「ドリコレ」の残高は4,806億円(前年同期末比40.7%増)、投資信託残高は9,594億円(同21.0%増)、いちよしアセットマネジメントの運用資産残高は8,208億円(同34.1%増)でした。残高連動収益が増え、売買手数料への依存低下が進んでいます。
営業レバレッジ
純営業収益は64.3%増えた一方、販管費は20.4%増の51.00億円にとどまりました。増収効果が費用増を上回り、営業利益は3.80億円から24.82億円へ拡大しました。
リスク要因
市場環境への感応度
株式委託手数料は株式市場の売買動向に左右されます。ストック収益の比率は高まっていますが、預り資産の時価下落は信託報酬やラップフィーにも影響します。
中小型株市場の弱さ
会社が強みとする中小型株では、当四半期末の東証グロース市場指数が期初を下回りました。株券委託手数料に占める中小型株の割合は9.6%で、市場活性化が進まなければ収益拡大の制約になります。
財務安全性
総資産は588.94億円、純資産は307.95億円、自己資本は307.46億円です。自己資本比率は52.2%で、前期末の56.2%から低下しました。純資産は配当金18.97億円の支払いが純利益16.83億円を上回ったため2.08億円減少しています。第1四半期のCF計算書は作成されていません。
株価への示唆
営業利益の大幅増加とストック収益の拡大は好材料です。今後はコストカバー率が100%へ到達・定着するか、預り資産5兆円の中期目標へ向けて残高を積み上げられるかが評価軸になります。一方、業績予想を開示していないため、第1四半期の利益を単純に通期換算するのは適切ではありません。
来期見通し
金融商品取引業は証券市場の変動に大きく影響されるため、会社は2027年3月期の連結業績予想を開示していません。配当予想も未定です。2026年3月期の年間配当実績は89円でした。
総合判断
第1四半期は、株式委託手数料の増加に加え、信託報酬とファンドラップ収益が大きく伸びました。安定収益のコストカバー率97.1%は収益構造の改善を示します。ただし、市況の追い風が強い決算でもあるため、次回は預り資産、ストック収益、販管費の伸びを継続して確認したいところです。
出典
- いちよし証券「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」、2026年7月30日