まず結論
今期Q1は見出しだけなら強い。ただ、売上進捗はほぼ4分の1なのに、経常利益は通期計画の6割まで進んだ。利益の先行は歓迎できるが、上期予想もQ1だけでほぼ埋まっている。数字の山が前半に寄っている。
Web3はすでにセグメント売上を開示しており、ゼロから夢を語る段階ではありません。問題は、5,207万円の売上が単発の開発案件で終わらず、利益を積み上げる事業になるか。830円を基準にしたPER約79倍は、そこまで期待を乗せた評価です。
Q1は売上25.6%、経常利益60%
2027年3月期Q1の売上高は4億164万円、営業利益3,408万円、経常利益3,301万円、純利益3,202万円。通期会社予想は売上高15億7,000万円、営業利益6,000万円、経常利益5,500万円、純利益5,000万円です。
売上進捗は25.6%に対し、経常利益は60.0%。今回のQ1でまず気になるのは、この利益進捗の速さです。前年同期は連結決算を作成していないため、前年比較は開示されていません。成長率より、まず絶対額と利益の出方を見る決算です。
さらに8月7日に修正した中間期の経常利益予想は3,400万円。Q1の実績だけで、その97%に達しています。単純差し引きならQ2に残る経常利益は100万円です。会社がQ2単独の利益を約束した数字ではありませんが、上期予想がQ1の高利益をほぼそのまま前提にしていることは読み取れます。中間期の上方修正を、そのまま通期上振れの合図と受け取るのは早い。
会社は通期予想を据え置きました。下半期は半導体の供給逼迫・価格上昇が主要顧客の需要に与える影響、Web3事業の案件獲得と進捗に不透明さが残ると説明しています。Q1の進捗だけを見れば上振れ期待は出やすい。それでも会社は通期予想を動かしていません。
EPS10.54円に対するPER約79倍
9月25日11時台の参考値830円を、会社予想EPS10.54円で割るとPERは78.7倍です。これは当日11時台の株価を使った試算で、終値ベースのPERではありません。
この倍率では、ネットワーク機器の既存事業が堅調というだけで割安感を説明しにくい。少なくとも会社予想EPS10.54円だけを見て買われている銘柄とは考えにくく、Web3を含む来期以降の利益拡大への期待が相応に乗っていると見るのが自然でしょう。株価にWeb3期待が何円分乗っているかまでは切り分けられません。
PER79倍となると、Q1が良かったというだけでは物足りない。次のIRが「提携しました」で終わるのか、数字を伴うのか。この差は大きいでしょう。
Web3事業は売上計上へ、個別案件の寄与はまだ見えない
Q1のWeb3事業は売上高5,207万5,000円、セグメント利益1,773万円でした。全社売上高の約13%で、すでに事業セグメントとして数字は出ています。少なくとも「Web3はまだ売上が見えない」という段階ではありません。ただ、この5,207万円をどう評価するかは別問題です。
ネットワーク事業は売上3億4,957万円、セグメント利益7,656万円。Web3と合わせたセグメント利益は9,429万円ですが、全社費用などの調整額6,021万円を差し引くと、連結営業利益は3,408万円です。この調整額の大半は各セグメントに配分していない一般管理費。セグメント利益だけを見て「Web3がそのまま全社利益を押し上げる」と読むと実態を見誤ります。
ThingsTokenはロジザードの「Bit Waybill」の技術基盤に採用され、ねぶた祭DAOでは実証実験が続いています。9月24日の会社発表はNFT専門メディアへの代表インタビュー掲載で、新規大型契約や業績修正ではありません。テーマ株は「参入」「提携」「実証」の段階で将来像を買われやすい一方、セグメント売上が立つと市場の目線は数字に移ります。ぷらっとホームもその境目にいます。Q1の5,207万円の内訳は開示されておらず、Bit Waybillなど特定案件の売上とは結びつけられません。
ネットワーク事業は利益の柱、在庫と価格転嫁に難しさ
ネットワーク事業はQ1の売上高3億4,957万円、セグメント利益7,656万円。EasyBlocksの販売に加え、長期サポート契約が増えたと会社は説明しています。現時点の利益を稼いでいるのは、依然としてこちらです。
4月15日からは、OpenBlocksやEasyBlocksなどの価格に受注時点の部材市況を反映する方式へ変えました。価格変動を自社だけで抱えない姿勢はうかがえますが、顧客がその価格でも発注するかは別の話です。次に見るのは値上げそのものより、販売数量と粗利益率でしょう。
もう一つ、利益の裏側に在庫があります。Q1末の棚卸資産は前期末から7,200万円増加。会社は、原材料高を見越した在庫積み増しで営業キャッシュフローが大きくマイナスになったと説明しています。一方、Q1のキャッシュフロー計算書は作成されておらず、金額や内訳は短信から確認できません。現預金は2億1,900万円ありますが、営業利益だけでは運転資金の重さを測れない状況です。
11月の中間決算で見る数字
次回は「Web3の進展」だけを追うのでは足りません。会社IRカレンダーでは中間決算を11月上旬に予定しています。見る項目は三つに絞れます。
- 上期利益の着地: Q1でほぼ届いた経常利益予想3,400万円に対し、Q2実績と通期計画の説明がどうなるか。
- Web3: Q1の5,207万円に対し、Q2でどこまで売上を積めるか。
- キャッシュと在庫: 部材高への備えで積み上がった在庫が売上・粗利益に変わり、営業キャッシュの流出が和らぐか。
まとめ
Q1の利益進捗は強く、Web3も売上を計上しました。一方、PER約79倍を会社予想EPSだけで説明するのは難しく、評価には来期以降の利益成長も関わってきます。次の決算では、在庫が売上に変わるかも含めて数字を見たいところです。