平均回帰とは?過去の平均へ戻るという仮説の条件

価格、利益率、収益率では、戻る対象が違う

平均回帰という言葉を使う際は、比べる数値と期間をそろえます。株価の平均へ戻ること、営業利益率が通常の水準へ近づくこと、過去の高い収益率の後に低い収益率が続くことは、別の現象です。

過去一年の平均と、過去十年の平均が違う場合もあります。平均を選んだ理由がなければ、現在の価格を安く見せる期間だけ後から採用できます。平均値の存在自体は、そこへ戻る仕組みがある証拠にはなりません。

「戻る」ように作った式なら、前提が結果を決める

説明用に、平均を100、現在の値を80とし、「次の値=100+0.5×(今の値−100)」という式を仮定します。予想外の変化を加えないなら、次は90、その次は95となり、平均との差が20から10、5へ縮まります。

この計算は、差を半分にする規則を先に置いた結果です。現実の株価が同じ規則に従うことを示してはいません。時系列モデルには予想外の変化も入り、平均や係数をデータからどう推定するかという別の問題があります。図はその不確実な部分をゼロとした説明用の経路です。

平均そのものが変わると、割安の見方が崩れる

事業の競争力が落ち、以前と同じ利益を得られなくなった会社では、昔の株価が戻る基準として適切でない場合があります。仮に平均と考える水準が100から70へ変わったなら、現在80は新しい基準より高い値です。「以前より安い」と「平均に対して安い」は一致しません。

利益率の一時的な低下でも、原材料価格が落ち着けば戻るという仮説と、販売価格を上げられず低利益率が続くという仮説を分けます。何が解消すれば戻るのか、会社の説明や数値で確かめる対象になります。

待つ間の損失と資金拘束も残る

戻る傾向が過去に観察できても、次の一年で戻るかは別です。途中でさらに下がれば、予定した支出のために平均を待たずに売る場合もあります。買い増して取得単価を下げても、戻る確率を上げることにはなりません。

価格だけでなく、平均から離れた理由、必要資金の時期、仮説が崩れたと判断する情報を合わせて記録します。平均回帰は検討する仮説の一つであり、損失のある株が買値へ戻るという約束ではありません。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。