三つの方法は、同じ控除を使う仕組みではない
申告不要を選べる配当では、源泉徴収されたまま申告に含めない方法があります。総合課税は他の対象所得と合わせて税を計算する方法で、対象となる国内配当などは配当控除を受けられる場合があります。
申告分離課税は他の所得と区分して計算し、一定の上場株式等の譲渡損失と通算できる方法です。2026年分の税率は原則20.315%で、配当控除は対象外です。大口株主等や非上場株式の配当へ、三つを自由に選べるという説明を当てはめることはできません。
配当10万円と、売却損6万円がある仮例
課税口座で対象の配当10万円と、通算できる上場株式等の譲渡損失6万円があるとします。条件を満たして申告分離課税で通算するなら、差額は4万円です。
これを「配当控除で6万円が戻る」と呼ぶのは間違いです。損失との通算と、税額から一定額を引く配当控除は別の仕組みだからです。また、源泉徴収ありの特定口座の中で既に調整されている場合と、他社口座との通算では、追加の申告手続きも異なります。
外国配当やREITの分配は、配当控除の対象を調べる
総合課税にすれば、すべての配当が同じ控除を受けられるわけではありません。外国法人からの配当、投資法人の分配金、申告分離課税を選んだ配当など、配当控除の対象外となるものがあります。銘柄の呼び方より税務上の区分を見ます。
NISAで非課税となった配当を、さらに課税口座の損失と通算することもできません。口座、商品の種類、課税方法を順に特定することが必要です。
申告前に選択と範囲を固める
上場株式等の配当を申告する場合、その申告する対象配当の全額について総合課税と申告分離課税のいずれかを選ぶ条件があります。申告で選んだ方法は、その後の修正申告や更正の請求では変更できません。
申告に含めた配当は、扶養控除等の判定で使う合計所得金額にも関わります。還付の金額だけを比較すると、こうした別の条件を見落とす可能性があります。
年間取引報告書、配当明細、他社口座の損失を並べ、すでに源泉徴収された額と、申告で変わる計算を確認します。どの方法が有利かは所得や控除の条件により変わるため、利回りや配当額だけの一律の基準に置き換えないことです。
出典
- 国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」
- 国税庁「No.1250 配当所得があるとき(配当控除)」
- 国税庁「No.1476 特定口座制度」
- 国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
参考資料の確認日:2026年10月23日。