長く持つ予定なのに、債券価格が下がった
固定利付債券を長く持つ予定でも、市場の評価額が下がると、満期の受取額まで減ったように感じる場合があります。金利と債券価格をシーソーへたとえる説明は、同じ将来の支払いを、今いくらで評価するかという関係です。契約と途中の市場価格を分けると、保有目的への影響を読めます。
ここでいう金利は、残る期間などの条件に対応して投資家が求める利回りです。政策金利をそのまま一つ入れれば、あらゆる債券の売却価格が出るわけではありません。
二年の受取額を変えず、評価する利回りだけ変える
架空の債券で、一年後に100円、二年後に利息と元本を合わせ1万100円を受け取るとします。受取日は固定し、信用、税、費用は考えません。
年利回り1%で各受取額を今へ割り引けば、100円÷1.01+1万100円÷1.01の二乗=1万円です。求める年利回りを3%へ変えると、100円÷1.03+1万100円÷1.03の二乗で約9,617円になります。
同じ受取額を高い利回りで評価するには、現在の価格が低くなる関係です。実在銘柄の約定価格ではなく、年間の受取日だけを置いた模型です。途中に複数の利払いがある商品なら、その日程ごとに計算も変わります。
満期と、途中で使う日を分ける
発行者が約束通り払うという前提なら、市場評価額が下がっても、固定した受取額そのものは変わりません。ただし、満期前に資金が必要になって売る人は、その時の価格や売却費用の影響を受けます。満期まで持つつもりという意向だけでは、途中の支出を賄えません。
金利が上がると、新しい資金や受け取った利息を以前より高い利回りで運用できる可能性もあります。ただし再投資する時の金利は未確定です。既存の評価損を自動で埋めるという意味ではありません。
債券を組み入れる投資信託も、個人が単一の債券を満期まで持つ場合とは違います。組入れや売買が続く商品では、保有者へ元本が一定日に額面で戻る契約があるとは限りません。
長期なら、株式との関係も固定できるか
株式の利益は固定した債券の支払いと違い、景気や競争で変わります。金利と株価、株式と債券が、長期なら常に反対へ動くとは言えません。為替の変化も加われば、外国資産を円で持つ結果はさらに変わります。
保有資産が何を支払い、どの日に使う資金なのか。長期という言葉だけで価格の変動を消さず、受取額、売却価格、再投資の条件を分けると、比喩の使える範囲が明らかになります。
出典
- 米国SEC Investor.gov『Bonds - FAQs』(金利・価格・満期などのリスク)
- BIS Quarterly Review(2023年12月)『Markets adjust to “higher for longer”』Box A(株式・債券収益の相関と物価環境)
出典確認日:2026年10月23日。