何に対する「上乗せ」なのか
同じ円建て・同じ1年間で、比較基準の安全性が高い資産を年2%、株式の期待収益率を年5%と仮定します。このときのリスクプレミアムは5%−2%=3ポイントです。数字は説明用で、現在の金利や日本株の予想値ではありません。
株式には業績悪化や株価下落の可能性があるため、基準と同じ収益しか期待できなければ保有をためらう投資家がいます。その不確実性を負担する見返りを、期待収益の差として考えるのが出発点です。大きく値動きする商品なら必ず高い収益が得られる、という意味にはなりません。
期待した差と、終わってから分かる差
仮に株式の実際の年間収益率がマイナス10%、基準がプラス2%だったら、実現した差はマイナス12ポイントです。予想でプラス3ポイントを置いても、その年に3ポイント受け取る契約はありません。
期待収益率そのものは画面から直接読めません。過去の収益や将来の利益見通しなどから推計するため、計算方法と対象期間が変われば値も変わります。米連邦準備制度理事会の2021年の解説も、リスクプレミアムは直接観察できず、複数の指標で捉えると説明しています。
数字の前提をそろえる
円建て株式と米ドル建て国債をそのまま比べると、為替の影響が混ざります。税引前と税引後、1年と10年、物価上昇を含む収益率と差し引いた収益率も、そのまま引き算できません。
比較には通貨、期間、費用、税、物価の扱いを書き添えます。長期国債を基準にする説明でも、途中売却には価格変動があります。「安全な資産」の範囲まで押さえて初めて、上乗せの意味が定まります。