結果を知ると過去の不確実さが薄れる
後知恵バイアスでは、実際に起きた結果が、起こる前にも当然だったように感じられます。Fischhoffの研究は、結果の知識が過去の判断や情報の重要性の評価に影響する問題を扱っています。結果を詳しく説明できることと、事前に予測できていたことは同じではありません。
相場では、急騰後に「成長は明らかだった」、暴落後に「悪材料は見えていた」と振り返る場面が考えられます。過去の会社資料に材料があっても、当時は別の情報もあり、どちらの影響が強まるかは確定していませんでした。
事後の説明と事前の見通しの仮例
決算前に「増益でも市場の期待に届かなければ下がるかもしれない」と記していた人が、発表後の株価15%上昇を見て「上がると確信していた」と感じたとします。値上がりという結果に沿って、当初の迷いを小さく覚えている可能性があります。
ここで手がかりになるのは、発表前のメモです。強気材料だけでなく下振れの可能性も書いてあれば、当時の予測は一方向ではなかったと分かります。事後の説明を磨く前に、記録を固定したまま読み直します。
自信の増え方を点検する
勝った取引を「すべて実力」、負けた取引を「想定外の例外」と処理すると、同じ方法を再現できると思い込みかねません。後知恵の偏りと、成功の原因を自分へ帰属させる偏りは重なり得ますが、同一の概念ではありません。
記録には、使った資料の日付、投資理由、別のシナリオ、見直す条件を短く残します。振り返りでは、その情報だけで当時の判断が説明できるかを確認します。記録を付けても偏りがなくなる保証はなく、将来の予測精度を上げる売買手法でもありません。過去を必要以上に簡単だったと思わないための点検です。