決算後の上昇が「当然」に見える仮例
仮想のA社の決算前に、投資家が三つの可能性をメモしたとします。新製品の販売好調、広告費の増加、相場全体の下落です。売上が伸びても利益が圧迫される場合や、市場全体に引かれる場合を考えていました。
実際には売上も利益も増え、株価が1,000円から1,200円へ上昇しました。結果を見た後で新製品の成功だけを並べれば、「買えば20%の利益が取れたのは明らか」と感じるかもしれません。しかし発表前に費用や市場の影響が未確定だった事実は変わりません。
これは研究の実験を再現したものではなく、投資場面へ置き換えた架空例です。研究で扱う後知恵の偏りは、結果の知識によって以前の予見可能性を大きく見積もる問題です。
原因の説明と、当時の注文を分ける
決算後の資料を使って上昇理由を分析することには意味があります。ただし、その資料を当時読めたものとして評価してはいけません。公表日時を確かめ、判断時に利用可能だった情報だけの欄を作ります。
| 振り返る項目 | 残す内容 |
|---|---|
| 当時の根拠 | 実際に読んだ資料と公表日 |
| 他の可能性 | 費用増、失望決算、市場全体の下落など |
| 注文の条件 | 金額、期間、見立てを変える条件 |
| 結果 | 損益と、計画通り判断したかを別々に記す |
取引を増やす反省にしない
上昇後に「次は迷わず大きく買おう」とだけ結論づけると、当時の不確実さが失われます。利益が出ても偶然に頼った面があり、損失が出ても妥当な範囲でリスクを取った場合があります。一度の損益だけで方法を採点しません。
細かな日記が負担なら、根拠と見直し条件を数行残すだけでも照合できます。当時と同じ情報で、判断の根拠を説明できるかを確かめるための記録です。