サンクコストに引きずられる投資心理
サンクコスト(埋没費用)は、すでに支出していて、今後の選択によって取り戻せない費用や労力を指します。投資では、保有株の含み損や、銘柄を調べるために費やした時間が「ここでやめるのはもったいない」という気持ちにつながることがあります。
しかし、購入時の株価や過去に費やした時間は、それだけでは今後の投資価値を決めません。保有を続けるか考えるときは、現在入手できる情報をもとに、これから投じる資金に見合う見通しがあるかを改めて判断します。買った理由が崩れているなら、買値に戻るまで待つことを唯一の選択肢にしないようにします。
売却が常に正解ということでもありません。判断の材料は、会社の業績や見通し、保有資産全体に占める割合、資金を使う時期です。「すでに持っているから」以外の理由で保有を説明できるかを点検し、迷った経緯も記録しておきます。
お金以外の「取り返したい」も残る
サンクコスト効果は、お金だけでなく費やした時間や努力が継続判断に影響することも含みます。企業を調べ、家族へ説明し、SNSで見通しを書いた後は、売却が自分の判断を否定するように感じられることがあります。しかし、その気まずさは企業が将来稼ぐ金額を増やしません。
判断した本人から一度離れる
例えば、自分が100万円で買った資産が70万円になったとします。友人から「今70万円あるが、この資産へ入れるべきか」と聞かれたら何と答えるかを考えます。自分の購入価格を知らない人なら、今の価格、事業、保有期間を中心に見るはずです。この問いは必ず売るためではなく、過去へのこだわりをいったん外すために置きます。
追加購入を保有の正しさの証明にしない
持ち続けること、追加すること、売ることはそれぞれ別の選択です。既に持つ金額を納得したいから追加すると、同じリスクをさらに増やします。追加資金を決める前に、購入理由を現在の事実だけで三行程度に書いてみます。「これまで使った」「元に戻るまで」が理由の中心なら、将来の根拠が足りていない可能性があります。
後悔や感情は完全には消せません。金額を急いで動かす前に、購入時のメモと今の資料を並べ、何が変わったかを記録します。自分を責めるための振返りと、次の資金配分の判断を分ければ、取り返しのための追加投資を抑えやすくなります。