費用の差を知っていても調べない仮例
仮想の投資信託Aを長年積み立てている人が、同じ市場へ投資するBを知ったとします。現在の残高は200万円、年間の費用率はAが0.8%、Bが0.2%です。残高一定なら差は年1万2,000円になります。
「手続きが面倒なので資料も読まない」という反応には、現状を優先する偏りが含まれるかもしれません。ただし、比較してAを残す結論になる場合もあります。指数の違い、売買時の費用、課税口座なら含み益の税負担などを確認しなければ、見かけの費用率だけで有利不利は決まりません。
この数字は実在商品の比較ではなく、点検する意味を示す仮定です。費用差は日々変動する残高や運用成績により変わり、将来の利益差を確定させるものではありません。
保有開始時の理由が古くなる例
もう一つは、住宅購入まで10年ある時に投資を始め、購入予定まで2年になっても資金配分を変えない場面です。企業の事業が好調でも、支払い時期までに株価が戻る保証はありません。以前は適した運用でも、資金の必要時期が近づけば点検する条件が変わります。
この時に「一度決めたことを変えたくない」としか説明できなければ、必要額と保有中の評価額を見直します。全額を一度に売る以外の選択肢も含め、いつ何円を確保するかを考えます。
実例から売買の結論へ飛ばない
現状維持バイアスは「持ち続ける人は間違い」という判定法ではありません。投資先や家計の条件を確認し、変更の負担より継続の利点が大きければ、維持する判断が成り立ちます。
相場が急変した瞬間だけでなく、落ち着いている時にも確認日を設けます。「費用・必要時期を確認したため継続」と記せば、「面倒なので何も見ていない」と区別できます。