動かさなくても比率は動く
長期保有と現状維持バイアスは同じではありません。長期保有は、時間をかけて資産を運用する方針です。現状維持バイアスは、現状を優先するために必要な比較を省く偏りです。長期方針がある人にも、配分を見直す必要は生じます。
仮の資産500万円を、株式200万円、預金など300万円に分けたとします。株式だけが50%上昇すると、株式300万円、その他300万円で合計600万円。株式比率は40%から50%へ増えます。売買をしていなくても、当初より株価変動の影響を受けやすい状態です。
この時点で株式が30%下落すれば、その部分の減少は90万円となります。もとの200万円なら同じ下落率の減少は60万円です。利益が増えたことと、現在引き受けている変動額を別々に見ます。
年数とともに変わる家計の条件
運用開始時は20年先だった支出も、15年たてば5年先です。価格の回復を待つ余裕が変わるため、必要な金額と引き出す時期を更新します。投資先の良し悪しだけで、使うお金をすべて保有し続ける判断はできません。
一方、上がった部分を毎回すぐ売る方法が万人に適するわけでもありません。目標の配分、税負担、費用を確認し、積立先を調整する方法も含めて考えます。年齢だけで一律の株式比率が決まるものでもありません。
保有方針に点検条件を含める
見直すきっかけを「不安になった時」だけにすると、下落時に確認が集中します。年次点検に加え、予定する支出の接近や収入変化など、生活上の条件も決めておきます。
点検後も当初の配分や商品でよいなら継続できます。「長期だから考えなくてよい」という説明を、現在の目的に合っているという説明へ置き換えることが、この知識の使い道です。