値札を見たときの印象から考える
最初に「通常1万円」と見てから7,000円の値札を見ると、3,000円安いと感じます。ところが、別の店で同じ品が6,000円なら、今の支出としては7,000円が最も安いわけではありません。最初の値段が判断の基準に残る、このような働きをアンカリングとして考えられます。
株の購入価格も同じ基準になる
仮に1,500円で買った株が1,000円になると、「1,500円へ戻るまで売れない」と感じることがあります。しかし会社の利益、借入れ、競争環境はその間に変わります。自分が買った値段と、現在の会社の状況から考える価値は別です。まだ持っていない人なら同じ株をいくらで買いたいか、という視点を置いてみます。
参考値を捨てず、条件を確かめる
過去の株価や同業他社の倍率は比較に使えます。ただし株式分割の前後、利益が急増した一時的な年、違う事業構造の会社をそのまま比べないようにします。数字を避けるのではなく、その数字が同じ条件の比較に使えるかを確認するのが実務的です。
最初の見通しを書く前に、会社の一次資料を読み、上向きと下向きの両方の前提を出します。一つの価格だけでなく幅を持たせると、資料の変化に合わせて見直しやすくなります。後から最初の値段へ理由を寄せていないか、購入前のメモと並べて点検します。
数字の基準を点検する手順
- いま判断に使っている数字や価格は何か
- その数字は、現在も判断材料として有効か
- 直近の業績や事業環境を踏まえても同じ結論になるか
- 反対の結論を支持する情報はないか
- 最初の数字を知らなかったとしても同じ判断をするか
購入価格を隠す練習
紙に現在の企業情報と時価だけを書き、取得価格を見ずに、新しく買うならいくら持つかを考えます。後で取得価格を開いたときに結論が変わるなら、その理由が税や費用なのか、単に元へ戻したい気持ちなのかを分けます。買値を忘れることを目標にするより、どの条件で判断が変わったかを言葉に残す方が、次の点検にも使えます。