アンカリングを知るメリット:EPS100円×倍率15倍=1,500円、目標値から倍率を後付けしない、予想の作成順と独立した根拠を確認

基準へのこだわりを点検できる利点

アンカリングは投資成績を良くする売買手法ではありません。知る利点は、自分の予想がどの数字から始まったかを確認できることです。例えば企業の新しい利益見通しを読む前に過去高値を見ていた場合、高値へ戻る説明ばかりを探していないかを点検できます。

予想を作る順番を変える

仮に予想EPSを100円、評価倍率を15倍と置けば計算上の価格は1,500円です。先に「目標2,000円」を見て、倍率20倍を後付けする方法とは、同じ割算でも判断の作り方が違います。倍率の妥当性は、成長率、利益の持続性、財務などから別に考えます。ここでの値は計算手順を示す仮定です。

比較資料の偏りも減らす

同じ証券会社の目標価格を複数の転載記事で読んでも、別の見積りが増えたわけではありません。会社の開示、過去の自分の仮定、異なる条件の試算を分けて並べます。一致している数値が多いことだけで根拠が強いと判断しないようにします。

過去の数字は必要な情報でもあります。購入価格は損益の記録、過去の利益は景気変動の検証に使えます。全てを忘れるのではなく、今の判断へ使う理由を説明できるようにします。「この数字を見ていなかったらどう見積もるか」という問いを一度置くだけでも、価格の印象と企業への評価を分ける助けになります。

上下の仮定から先に計算する

予想EPSを80円と120円の二通り、倍率を15倍にそろえると、価格の試算は1,200円と1,800円です。先に目標2,000円を見ていた場合、その値に届かない仮定も同じ重さで残します。都合のよい値だけを採用せず、低い利益でも保有を続けられるかを考えます。数字の幅は予測の精度を保証しませんが、どの前提で結論が変わるかを見える形にできます。

出典