下がるたびに引き直して、上昇線を残す時
株価が補助線を割ると、もっと古い安値を使って線を引き直す。その図だけを後で見ると、初めから傾向を正しく読んだように感じる場合があります。トレンドラインの失敗は、点を選ぶ判断を、結果の後に隠してしまうことです。
高値や安値を結ぶ線には、対象期間や選ぶ点の判断が入ります。新しい情報で見方を変えること自体と、以前の条件を消して、最初の見立てが当たったことにする扱いは区別できます。
最初の線と、後の線を分ける仮例
架空の営業日で、第1日の安値1,000円と第5日の安値1,040円を結ぶと、一日当たり10円上がる傾きになります。同じ間隔で第9日まで延ばした線は1,080円ですが、その日の実際の安値を1,045円とします。最初の線を下回っています。
ここで第1日と第9日の安値を選び直せば、もっと緩い右上がりの線になります。しかし第5日の時点では、まだ第9日の価格を知りません。後の線を根拠に、最初から1,045円で支えられると予測できたことにはならない例です。実在の銘柄や売買成績を示す数値ではありません。
ヒゲと終値の切替えでも、条件は変わる
場中の安値では割ったのに、終値では割らなかった日があります。どちらを基準にしたかを、その日の結果を見てから替えれば、同じ判定とは言えません。JPXのローソク足の説明でも、高値・安値と始値・終値は異なる値として示されています。
短い時間の線を、長期保有の判断へ突然持ち込むことも、対象期間を変更する扱いです。逆に、短期で買った理由が崩れた後、長期投資だったと言い換えると、最初に何を検証していたかが分からなくなります。
線を割ったことだけで、反転とも決めない
Fidelityの説明は、線を越えることを、傾向の変化を疑う材料として扱っています。線を何度もまたぐ値動きもあり、割った直後に必ず下落が続くとは限りません。出来高、直近の価格、会社や市場の情報を合わせて読む場合にも、損失がなくなるわけではありません。
前の線を残しておけば、どの情報で何を変更したかを後からたどれます。図をきれいに当てはめることと、本人の売買を評価することを混ぜないための記録です。
出典
- Fidelity Trading Strategy Desk『Basic concepts of trend』(高値・安値による線、線を越えた動きの限界)
- 日本取引所グループ『株価チャートの表示内容について』(四本値・移動平均線・足種)
出典確認日:2026年10月23日。