平均回帰と投資心理:架空の同じ会社:価格の下落と倍率を分ける、以前:株価2,000円、一株利益100円、PER20倍、その後:株価1,200円、一株利益40円、PER30倍、価格は40%下落、利益は60%減った設定、分割・株数変更・一時的損益などは除く独自例、古い価格や倍率へ戻る根拠は、この下落だけでは分からない

前はもっと高かったから、いずれ戻ると思っていた

値下がりした株を見て、昔の平均や購入価格までは戻るはずだと考える場合があります。平均回帰は、ある基準から離れた値が、その後基準へ近づく傾向を考える言葉です。しかし、本人が覚えている価格へ戻る約束ではありません。

戻ってほしいという希望と、同じ基準が今も使える根拠を区別すると、買い増しや保有継続の理由を読み直せます。

価格と利益が同時に変わった、架空の会社

架空の会社の株価を2,000円、一株利益を100円とすると、PERは20倍です。その後、株価が1,200円になっても、同じ期間・会計の範囲で比較する一株利益が40円なら、PERは30倍になります。

株価は40%下がっていますが、利益は60%減っており、利益に対する価格の倍率は高くなった設定です。分割、株数や会計基準の変更、一時的損益などを除いた独自例で、実在会社の予想や適正なPERを示していません。

以前の価格から下がったことだけでは、以前より割安になったとは言えません。一株利益が今後どうなるか、以前と同じ倍率を比較する条件があるかを読む部分が残ります。過去の価格を、戻るべき価値へ置き換えないための例です。

戻る基準を、結果に合わせて動かさない

比較する期間を変えれば、平均も変わります。思い通りの結論になるまで期間を選び直すと、平均回帰を確かめたというより、自分に合う線を探したことになります。価格、利益指標、通貨、分割の調整などの条件を先に残せます。

企業の競争力や金利の条件が変わったなら、以前の平均そのものが適切でない可能性もあります。さらに下がるたび平均へ近づく余地が大きくなったとだけ考えると、変化した事業の材料を読み落とす場合があります。

下落の連続と、次の上昇の根拠は別

何度も下がったので次は上がるはずという感覚は、戻る性質の検証とは違います。平均回帰を論じる過去の研究も、どの市場、指標、保有期間を扱ったかという条件があります。一社の次の値動きや、損失を取り戻す時期を保証するものではありません。Kimらの再検討は、時期を分けた時に証拠が弱まる点も報告しています。

買い増しは、本人の保有額と特定企業への依存も変えます。予想が外れてさらに離れた場合、近い支払いや他の目的へ使う資金を損なわないかは、価格への期待とは別に考える部分です。

古い価格に戻ったかだけで判断を振り返ると、その間に変わった利益や競争を見落とします。平均からの距離を調査のきっかけとし、戻ると考えた条件と、条件が崩れた場合の見方を記録するために使えます。

出典

出典確認日:2026年10月23日。