自信があるほど、理由を省いてしまう場面
値上がりが続き、友人やSNSでも同じ見通しが増えると、「まだ上がる」という言葉だけで保有を増やしたくなることがあります。「まだはもうなり、もうはまだなり」を知る利点は、そうした断定から、根拠を調べる問いへ戻れることです。知っている人の売買成績が良くなると実証する意味ではありません。
反対の可能性を、判断が変わる条件にする
架空の人が、受注の増加を理由に会社の株を持とうと考えたとします。まず、公表された受注が売上や利益になる時期を分けます。次に、受注の取消し、採算の悪化、納入の遅れなど、見通しを変え得る事実を決めます。最後に、その情報が出る資料と時期をメモします。格言を合図に、根拠と見直し条件を具体化する一つの手順です。
反対材料を機械的に同じ数だけ並べる必要はありません。小さな懸念を大量に足しても、中心となる利益の前提が変わらなければ、判断を変える理由には弱い場合があります。逆に一つでも、資金調達や事業継続に関わる事実なら重さが違います。
利点が失われる使い方
「反対も考えたから大丈夫」と安心するだけでは、売買額の過大さは直りません。悪い結果になっても生活が維持できるかという家計の問題は、企業の調査とは別に残ります。
また、判断を変える条件を厳密に書いても、相場がその通りに進むとは限りません。未知の出来事もあり、売りたい時に希望価格で約定しない場合もあります。記録は、リスクを消す装置ではなく、変更理由を自分で説明しやすくする道具です。
日本証券業協会は、この格言を独善的な判断への戒めとして紹介しています。天井や底を当てる能力を増やすより、根拠が薄くなった時に強い言い切りをやめられることに、使い道を絞れます。
出典
出典確認日:2026年10月23日。