「もう」「まだ」が持ち株に都合よく変わる
同じ株でも、持っていない時は高く感じ、買った後にはもっと上がると思うことがあります。「まだはもうなり、もうはまだなり」は、この主観と相場の食い違いを考え直す格言です。感情を消せる方法でも、反対の感情に従えばよいという指示でもありません。
含み損があると、売却して損失を確定することに抵抗が出る場合があります。含み益がある時には、利益を失いたくない気持ちが強くなる場合もあります。格言そのものがこうした心理の発生を実証する研究ではないため、言葉の解釈と心理学上の根拠は区別します。
買う前と買った後の記録を並べる
架空の人が、ある会社の利益改善を理由に買おうと考えた場面を置きます。取引前に「どの公表情報を根拠にしたか」「何が変われば保有を見直すか」を短く残します。値下がり後には、その記録と新しい開示を並べ、利益改善という前提が続いているかを読みます。最後に、変更した理由が新しい情報か、買値へ戻ってほしい気持ちかを分けます。
これは一つの振り返り手順です。理由を書けば売買が成功するわけではありません。新しい事実で意見を変えることまで禁止すると、逆に当初の記録へ固執してしまいます。
怖さを格言で上書きしない
「もう底かもしれない」と考えたからといって、不安なまま大きな額を投入する必要はありません。価格の見立てと、損失額を負担できる家計は別です。睡眠や本業に影響するほど気になる取引なら、当てる工夫だけでなく、保有額そのものが重いかを考えます。
日本証券業協会の解説にある戒めは、他人が間違っていると決めるためにも使えません。SNSの強気・弱気を眺めるだけでは、投稿者の保有や資金状況は分からないからです。自分の理由がいつ変わったかを見れば、他人の自信を借りるより、判断を直す場所が具体的になります。
出典
出典確認日:2026年10月23日。