退職できそうな額へ到達したと感じた時
資産が目標へ届くと、もう給与が無くても暮らせると思うことがあります。FIREはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、経済的自立と早期退職を目指す考え方です。完全に仕事を辞める形だけでなく、勤務を減らす等の選択もありますが、必要な支出をどう支えるかは別に計画します。
生活費、住居、家族、健康、税や社会保険、公的年金の受取時期によって条件は違います。早く退職するほど、資産から生活を支える期間が長くなる場合があります。
取り崩し額を、利息と取り違えない
架空の人が資産5,000万円の4%に当たる200万円を初年度に取り崩すとします。年間支出が264万円なら、それだけでは64万円不足します。税、費用、物価や他の収入を省き、取り崩しの割合だけを置いた例です。200万円の運用益が必ず生まれるという意味ではありません。
いわゆる4%ルールの背景にあるBengenの1994年の研究は、米国の過去の資産収益と物価を使い、初年度の取り崩し額と、その後の物価に合わせた額を検討したものです。毎年必ず4%稼げることや、その時の残高へ毎年同じ率を掛けることとは違います。
過去の検証を、日本の将来へ固定しない
同研究は、一定の資産構成や期間、口座の条件を置いた分析です。日本の税や通貨、本人の寿命、より長い早期退職の期間へ、数字だけを移して安全と決めることはできません。資産の下落と高い物価が重なる時にも、支払いは続きます。
金融庁の生活設計の説明は、必要な時期と額を考えます。FIREでも、年金開始前と後の不足、臨時支出、就労を再開・変更できる条件を同じ時間軸へ置く必要があります。
自由な時間が増えることと、その時間に満足して暮らせることも別です。人とのつながりや家族との役割、健康を含む生活の希望へ、資金計画を合わせます。達成額という一度の判定より、変化した条件へ計画を直せることが、現実の生活につながります。
出典
- William Bengen『Determining Withdrawal Rates Using Historical Data』(1994年論文、FPAの2004年再録公開版。本文3〜6ページの方法と条件)
- 金融庁「資産形成の基本」
出典確認日:2026年10月23日。