買値に判断を縛られない
アンカリングは、最初に知った数字を基準にして、その後の判断が引きずられる心理です。NISA口座で保有株が下落した時に買値を基準に「戻るまで待つ」と考えたり、過去高値を見て今の価格を安く感じたりすることがあります。しかし、買値や過去高値は、現在の企業価値や将来の価格を保証しません。
NISAの非課税メリットがあることも、保有を続ける理由とは別です。投資先の業績や財務が変わっていないか、今の価格でも新たに買うかを考えます。NISA口座の損失は課税口座の利益と損益通算できないため、制度上の扱いも理解した上で、当初の投資理由を見直します。
取得価格が制度の目的を上書きしないか
NISAで1株2,000円の株を100株買い、現在1,400円になったとします。取得額20万円に対し時価は14万円です。「2,000円へ戻ったら売る」という基準は覚えやすいものの、その価格へ戻る企業側の根拠は別に要ります。口座の区分は、企業の利益や株価の将来を変えません。
枠の数字と家計の目標を分ける
非課税保有限度額や年間投資枠の上限を最初に見ると、その数字が達成すべき投資額のように感じられる場合があります。仮に家計から無理なく出せる資金が年24万円なら、制度上の上限がもっと大きくても月2万円を起点に考えます。枠に合わせて生活予備費を削ると、下落時に売る必要が生じます。
売却時の制度も確認する
2026年10月22日確認の制度では、売却した取得価額分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。時価14万円で売った場合に、損した6万円が戻るわけではありません。NISAの損失は課税口座の利益と損益通算できず、年間投資枠も同年中に売却で復活する仕組みではありません。
保有の見直しでは「自分の買値」「制度の枠」「現在の商品価値」を別々に書きます。現在の14万円を新しく使うなら同じ商品を選ぶか、使うまでの期間は変わっていないかを問い直すと、画面に残る購入価格だけに引っ張られにくくなります。非課税の長期保有と、価格へこだわった塩漬けを同じものにしないようにします。