分散と集中投資を比べる

比較するのは保有額と共通の変動要因

「卵は一つの籠に盛るな」は分散を促す格言です。一方、詳しく調べた企業に絞って投資する考え方もあります。両者を比べるとき、銘柄を増やす手間と、一社の見込み違いが資産全体へ響く大きさを同じ条件で考える必要があります。

企業を詳しく知っていることは分析の材料になりますが、その情報が正しいことや、株価にまだ織り込まれていないことを保証しません。逆に、数多く買えば内容を理解しなくてよいという結論も出ません。

配分が違えば同じ下落でも損失額が変わる

資産100万円のうち、A株へ80万円を投じた案と、A株へ20万円を投じた案を比べます。Aが50%下落し、残りの資産が横ばいなら、損失はそれぞれ40万円と10万円です。全体の下落率は40%と10%になります。税金・費用は除く仮例です。

残りの資産にも値下がりがあれば、損失はさらに増えます。Aの比率を下げることで、一社の影響は小さくなりますが、全体の損失が自動的に10%などの範囲へ固定されるわけではありません。

銘柄数だけでは対照にならない

10銘柄を保有していても、すべて同じ製品の需要に依存していれば、似た影響を受ける場合があります。一方、少ない商品数でも、それぞれが多数の投資対象を持つファンドであれば、直接保有する株式の数より中身は広いかもしれません。

比較する範囲を「自分の証券口座」だけに絞るか、預金や他の口座まで含めるかでも割合は変わります。対象範囲と評価日をそろえなければ、集中度の数字は並べられません。

成績の検証は結果だけに寄せない

集中した一社が上がった結果を見て、その戦略全体のリスクが低かったとはいえません。分散したために下落時の損失が小さくなった一回の例も、今後の保証にはなりません。

比較には、事前に想定した損失額、家計で使う予定の資金、売買費用、どの事実が変われば保有理由が崩れるかを残せます。最も利益が出た結果を後から選ぶ比較と、自分が判断時点で続けられる運用の比較を分けることで、格言を検討の道具として使えます。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。