税金がなくなる範囲と、費用が発生する範囲
NISAの投資信託なら利益をそのまま受け取れると思っても、商品内で控除される運用費用までなくなるわけではありません。ジョン・ボーグルは米国で低コストの指数投資を広めた人物で、日本のNISA制度を作った人ではありません。その考え方を取り入れる際は、日本の商品と口座の条件に読み替える必要があります。
ここでは2026年時点の成人のNISAを想定します。つみたて投資枠には対象商品や購入方法の条件があり、指数に連動すれば何でも買える制度ではありません。
同じ指数を対象にする仮の費用比較
保有残高を年間を通じて180万円で一定とし、同じ指数を対象にする架空の商品Aの年費用を0.12%、Bを0.60%と置きます。単純化した一年の費用は、それぞれ2,160円と1万800円です。税を非課税にする口座でも、この費用差は残るという例です。
実際の残高は日々変わり、信託報酬以外の負担も生じるため、この計算は実額の予測ではありません。180万円は保有残高の仮定で、その全額を一年でつみたて投資枠へ買い付けられるという意味でもありません。
枠を埋めることを目的にしない
成人のNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠にそれぞれ年間の上限があります。しかし、制度上投資できる金額と、家計が継続できる金額は異なります。上限を使い切るために、近く使う現金まで投資すれば、値下がり中の売却が必要になる場合があります。
低コストな分散投資でも、市場全体の下落や為替の影響は残ります。非課税と元本保証を混同しないことが、金額を決める前提になります。
日本の損失の扱いも別に読む
NISA内で生じた売却損は、課税口座の利益や配当と損益通算できず、繰越控除もできません。米国での税制上の運用を紹介する文章を、日本のNISAへそのまま当てはめることはできません。
海外の投資哲学と日本の制度を学ぶ目的は、同じ配分をそのまま再現することではありません。対象商品、負担する費用、自分が耐えられる変動を具体的にして、無理なく継続できる形へ結びつけることです。
出典
- Vanguard「50 years. 50 facts. Indexing since 1976.」
- 金融庁「NISAを知る」
- 国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
参考資料の確認日:2026年10月23日。