平均回帰とは?戻るモデルの条件と、過去の平均を買い場にしない理由

平均へ近づくという見方

平均回帰という言葉を使う際には、何の平均を指すかを決める必要があります。株価の過去の単純平均、企業の利益率の長期的な水準、統計モデルが置く中心では、同じ数字になりません。

極端な測定値の後に、次の測定値が平均へ近づく統計的な話もありますが、特定の株価が以前の値段へ戻るという保証にはなりません。過去の平均を計算できることと、それが今後も安定した中心であることは別です。

仮の自己回帰モデルで見る

説明のため、中心を100、離れた幅の半分が次の予測へ残るモデルを置きます。式は「次の予測値=100+0.5×(現在値−100)」です。現在値が80なら予測値は90です。同じ仮定で先へ延ばすと、その次の予測値は95になります。

現実の時系列モデルでは予期しない変動も入ります。この例は、その変動の平均をゼロと置いた条件付きの予測であり、実際の次の値が90や95になるという宣言ではありません。中心100と係数0.5も、市場データから求めた数値ではありません。

中心が変わると結論も変わる

同じ現在値80でも、中心が70なら、式は70+0.5×(80−70)=75です。「昔は100だったから80は安い」と買う前提は、中心が変われば成り立ちません。

企業の収益力が下がった、産業の競争条件が変わった、株式数が変化したなどの事情は、過去と現在を比べる条件へ影響します。また、価格そのものと価格の変化率では性質が異なるため、どちらを分析しているかをそろえる必要があります。

平均を選ぶ期間による違い

過去20日と過去5年の平均では、含まれる情報も異なります。都合の良い期間へ変更して、現在値より高い平均を探すだけでは、将来へ使える根拠にはなりません。

投資へ応用するなら、対象と期間を決め、判断時点までの情報でモデルを作ったのか、後から分かった情報を混ぜていないかを区別します。平均回帰という名称より、何が平均として安定していると考えたのかを説明することが先です。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。