目立つ成功が成績全体を代表するとは限らない
80対20の法則は、結果の多くが少数の要因へ偏るという経験則です。投資成績に当てはめると、少数の銘柄が利益の大半を生んでいた、という振り返りができます。ただし、どの人も必ず同じ比率になるという意味ではありません。
目立つ利益を見て「この分野は得意だ」と結論づける前に、利益が大きくなった理由を分ける余地があります。投じた資金が多かっただけなのか、保有期間が長かったのか、相場全体の上昇が強かったのかでも説明は変わります。
利益の80%を出した投資の収益率
同じ1年間で、Aに100万円を投じ8万円の利益、Bに20万円を投じ2万円の利益を得た仮例を考えます。利益合計10万円の80%はAですが、収益率はAが8%、Bが10%です。利益への寄与が大きいことと、投じた金額に対する成果が高いことは一致しません。
この二つの結果だけで、Bを次も選べば有利ともいえません。取ったリスクや、たまたま好条件だった可能性は、利益額や一期間の収益率だけでは分かりません。
成功の理由を後から作りすぎない
企業の利益が伸びると考えて買ったのに、実際には利益が伸びず、相場の評価倍率が上がって株価だけ上がる場合もあります。利益が出たという結果は同じでも、当初の仮説が正しかったとは限りません。
購入前の根拠と、購入後の業績や価格の変化を分けて記録すれば、成功をすべて自分の判断力へ結びつけずに振り返れます。逆に、損失になった取引でも、予想のどの部分が外れたかは結果の額だけからは判定できません。
次の投資額は過去の大勝ちだけで決めない
利益を生んだ銘柄へ次回さらに資金を寄せると、その企業や分野への依存が増えます。過去の寄与率80%を、そのまま今後の資金配分80%へ置き換える根拠はありません。
偏りを調べることは、得意分野の証明というより、成績が何へ依存していたかを知る材料になります。うまくいかなかった取引も同じ期間・同じ損益基準で含めることで、自信の強さと実績の中身を照らし合わせられます。
出典
- Juran「Pareto Principle (80/20 Rule) & Pareto Analysis Guide」
- ASQ「Seven Basic Quality Tools」(パレートの原則)
- ASQ「What is a Pareto Chart?」(集計単位と期間の選び方)
参考資料の確認日:2026年10月23日。