利益だけの80%と純損益への寄与
80対20の法則は、少数へ成果が偏る状態を考える経験則です。品質管理のパレート図では件数や費用などを並べますが、投資にはプラスとマイナスの損益があるため、そのまま一枚の割合図に置き換えると誤解が生じます。
まず、比率の分母を決めます。利益の合計、損失を差し引いた純損益、投資元本では、同じ利益額に対する割合が違います。
80%と133.3%が両立する仮例
上位の利益が8万円、他の利益が2万円、損失が4万円とします。利益だけの合計は10万円なので、上位の8万円は80%です。一方、純損益は6万円で、8万円÷6万円は約133.3%になります。
100%を超えたことだけで誤りとはいえません。他の損失が上位の利益を一部打ち消しているためです。純損益がゼロに近い場合は比率が極端に大きくなり、ゼロなら割れません。こうした集計を、要因全体が100%に収まる円グラフの感覚で読むことには限界があります。
過去の上位だけを残すと比較条件が変わる
「利益を出した2銘柄だけ持てばよかった」という結果は、後から選んだ組み合わせです。その時点で勝ち銘柄を識別できたか、他の銘柄を保有した理由は何だったかという条件が抜けています。
売却済みの負け取引を成績一覧から外したり、含み損は計算しない一方で含み益だけ加えたりすれば、偏りは実態とは違うものになります。全取引を同じ基準で含める必要があります。
労力を減らす比率とも限らない
20%の時間だけ調べれば80%の利益を取れる、という関係は、この利益の集計からは導けません。保有管理や注文条件の確認は、利益が小さい銘柄でも必要になる場合があります。
実績分析へ使うなら、利益と損失を分け、入出金や税金・費用の扱いを注記できます。数字を80対20へ合わせることより、どの投資が結果へどう影響したかを追えることが分析の目的になります。
出典
- Juran「Pareto Principle (80/20 Rule) & Pareto Analysis Guide」
- ASQ「Seven Basic Quality Tools」(パレートの原則)
- ASQ「What is a Pareto Chart?」(集計単位と期間の選び方)
参考資料の確認日:2026年10月23日。