五年間の上位は、次の五年間の予告ではない
80対20の法則は、少数の要因が多くの結果を生むという経験則です。10銘柄を5年間持ち、利益合計50万円のうち2銘柄が40万円を生んだ仮例なら、銘柄数の20%が利益の80%を生んだ形になります。ここでは損失がなく、同じ方法で損益を集計したと仮定します。
その2銘柄を事前に選べたかは、集計結果とは別の問題です。次の5年で競争条件や価格に含まれる期待が変われば、以前の勝ち銘柄も損失になる可能性があります。
期間の区切り方で見え方が変わる
5年間の合計だけを見ると、その途中で大きく下がったことや、利益が最後の1年に集中したことは見えにくくなります。年ごとに分ける場合も、評価損益と売却損益を同じ基準で扱う必要があります。
売った年にだけ利益を全額計上する集計と、毎年の評価額の変化で測る集計では、同じ保有でも年別の順位が変わります。税金や費用、配当を含める範囲も、期間間でそろえることが前提です。
値上がり後の集中も別に測る
ある銘柄が高収益だったため、現在の資産の大きな割合を占めている場合があります。過去の利益への貢献と、今後の下落が全体へ響く大きさは、別の指標です。
過去に投じた金額だけでなく、現在の評価額で比率を見ると、現在の依存度が分かります。比率を戻すための売却には税金や費用がかかる場合があり、新しい入金の配分を変える調整も考えられます。調整したから将来の収益が最大になるとは限りません。
長く持つことと、振り返らないことは違う
成果の多くが少数に偏るという見方から、「残りの銘柄を管理しなくてよい」という結論は出ません。企業の重要な変化、商品の償還、家計の支払予定などは、利益への寄与が小さい保有分にも関係します。
この経験則を長期投資に使うなら、結果の偏りを把握し、その偏りが価格の上昇、追加投資、保有期間のどこから来たかを追う材料になります。過去の上位だけを抜き出した理想の運用と、自分が当時選べた運用を分けて比較する姿勢につながります。
出典
- Juran「Pareto Principle (80/20 Rule) & Pareto Analysis Guide」
- ASQ「Seven Basic Quality Tools」(パレートの原則)
- ASQ「What is a Pareto Chart?」(集計単位と期間の選び方)
- 金融庁「資産形成の基本」
参考資料の確認日:2026年10月23日。