違う種類の資産なら、必ず片方が上がるか
株式と債券へ分ければ、株が下がる日に債券が必ず上がると考えると、分散の効果を過大に見積もる場合があります。資産を分けても、同じ期間に価格が下がることはあります。元本を補償する仕組みと、値動きの偏りを抑える考え方は異なります。
2020年3月の市場混乱を扱う日銀レビューは、株価の急落に加え、国債市場の機能や流動性の低下、資金確保を急ぐ動きを説明しています。危機のときには資金の都合による売却も関わることを学べます。
二つへ分けても減る独自の仮例
架空の資金300万円を、株式200万円、価格変動のある債券ファンド100万円へ置きます。同じ期間に株式が30%、債券ファンドが5%下がったなら、合計は140万円と95万円で235万円、当初から約21.7%の減少です。
税、費用、配当や分配金、入出金を除く独自の設定で、2020年の実績や推奨配分ではありません。満期に償還される個別債券の条件を再現したものでもありません。この例では株式だけが30%下がる場合より下落率は小さくなっていますが、損失がゼロになるわけではありません。
市場価格と、必要な現金を分ける
価格変動のある商品を持つことと、支出に使う現金を残すことは同じではありません。必要な時点で下がっていれば、資金を得るために損失のある売却が必要になる場合があります。
売却できるとしても、希望する価格や数量で直ちに成立するとは限りません。価格が付いていること、実際に売れること、代金を引き出せる時点も区別する必要があります。
過去の反発の速さを、次の保証にしない
過去の危機の後に価格が戻ったとしても、現在の保有対象が同じ速度で戻るとは限りません。市場全体の指数と一社の株でも条件は異なり、政策や事業の環境も変わります。
下落に耐えると考える際は、気持ちの強さだけでなく、何の支出をどの資金で払うかを具体化できます。借入や証拠金のある取引では、追加の資金や決済の期限も別に残ります。
コロナショックの歴史から得られるのは、次の反発日より、資産と資金の役割を読む問いです。分散している範囲と、価格に左右されず必要な支出へ使える範囲を分けると、計画の弱い部分を見つけやすくなります。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。